2021年に向けて活躍が期待される女性ヒップホップアーティストをセレクトしました。
メジャーでの活躍というより、ニッチなアンダーグラウンドシーンやその地域で着実に地位を固めつつある、北米(アメリカ・カナダ)で活動するサクラタップス音楽部がおススメする女性シンガー/ラッパーたちの特集です。
お気に入りのアーティストを是非見つけてみてください。
それでは早速レビューしていきましょう。
注目の女性アンダーグラウンド ヒップホップアーティスト 13選
#1 : 070 Shake
ニュージャージー出身のヒップホップシンガー/ラッパーの070Shake(070シェイク)。
“070”とはニュージャージー州のzipコードで、彼女自身もその地元のヒップホップクルーである070 collectiveの中心人物でもあり、そこから取られたもの。
Kanye Westの『Ghost Town』やNasの『Not For Radio』へのゲスト出演でシーンの注目を浴び、2018年ソロデビューEP『Glitter』を名門Def Jamとカニエ・ウェスト主宰のG.O.O.D.Musicよりリリース。
内省的で叙情感に満ち、機械的な響きをともないながらも頭に焼き付く独特の存在感を放つボーカル&ラップで惹きつけられるサクラタップス音楽部イチオシの2021年最注目アーティスト。
2020年にはアルバム『Modus Vivendi』がリリースされ、さらに磨きがかかったクリエイティブなビートとボーカルを堪能できます。また、_BY.ALEXANDERやTame Impalaなどとのコラボレーション作品でも絶品の出来栄えで楽しませてくれます。
070 Shake – Nice To Have
070 Shake – Guilty Conscience
#2 : CHIKA
ナイジェリアの移民の生まれでアラバマ出身のシンガーソングライター、ラッパーのChika(チーカ)。
2019年にソウルポップシンガー、JoJoの「Sabotage」にフィーチャーされたことで注目され、ヒップホップ専門誌XXLマガジンのFreshman Classにも選出。
2020年3月にデビューEP『INDUSTRY GAMES』をリリース。
トレンドと普遍性を兼ね備えたサウンド、卓越したスキルを持ち合わせたボーカル&ラップは女性版チャンス・ザ・ラッパーの呼び声も高く、2021年グラミー賞最優秀新人賞にもノミネートされています。
CHIKA – CROWN
CHIKA – U Should
#3 : Jada Imani
セントルイス生まれでベイエリア、オークランドで活動するシンガー、ラッパーのJada Imani(ジェイダ・イマーニ)。
Hiatus KaiyoteやThe Internetに影響されたジャジーネオソウルとヒップホップを融合したドリーミーなサウンドにエリカ・バドゥを思わせるようなリリシズムたっぷりなMCを持つアーティスト。
2019年にサンフランシスコのビートメイカーBagheadとの共作EP『Blend』、2020年9月には初ソロEP『Ring Ring!』をリリースしています。
また、ベイエリアの200以上の音楽ショーケースのキュレーションや、Tatu Visionというパフォーマンス・アートコミュニティを創設するなど、ベイエリアにおけるアートオーガナイザーの顔を持ち合わせた人物でもあります。
Jada Imani – Ring Ring
Jada Imani – And We
#4 : Lyric Jones
マサチューセッツ州ボストン出身のシンガーソングライター、ラッパー、ミュージシャンのLyric Jones(リリック・ジョーンズ)。
2000年の『Imperial』のヒットでも知られる女性ラッパーRah Diggaに師事し、Pete Rock、Big Daddy Kane、Dilated Peoplesら実力派ラッパーのステージサポートによってその才能と実力を磨いてきた。
2014年ミックステープ『Love’s Trail Mix』でデビュー、2020年にアルバム『Closer Than They Appear』をリリースしています。
バークリー音楽大学のキャリアを感じさせるジャズ、ソウル、ヒップホップを融合させたアイデア豊富なサウンドと魅力的なボーカル、切れの良いテクニック抜群のフロウは、DJ Premier、Chuck D、Pharoahe Monchらも認めるスキルです。
特にアイデアがたくさん詰まったTiny Desc(Home) Concertの模様は必見。
Lyric Jones – Dusty Heart
Lyric Jones – Tiny Desc(Home) Concert
#5 : Nappy Nina
オークランド生まれで現在はNY、ブルックリンを活動拠点にするラッパー、Nappy Nina(ナッピー・ニーナ)。
ジャジーでミニマム、アンダーグラウンドテイストなトラックに、詩人でもある彼女の社会的、文化的、政治的問題をテーマにしたブラックラディカルなリリックを飄々と語りかけてきます。
2015年デビューアルバム『Naptime』以降4枚のアルバムをリリース。
NYのコリアン・アメリカン、エレクトロニッククリエイターYaejiやローファイ・サイケデリックソウルシンガー、Nick Hakimとのコラボレーションなど、組み合わせもなかなか通好みのおススメアンダーグラウンドラッパー。
Nappy Nina – Big Pen
Nappy Nina – What You Want ft. Ambrose Akinmusire, Nick Hakim & Quelle Chris
#6 : Stas Thee Boss
ワシントン州タコマ出身でシアトルを拠点にするラッパー、Stas Thee Boss(スタース・ジー・ボス)。
2010年代に活躍したアンダーグラウンドジャズ・ヒップホップデュオ、THEESatisfaction(ジーサティスファクション)のメンバーで2016年に活動を休止した後ソロ転向。
2017年『Voices』『S’women』の2枚のアルバムをリリースし、2020年にはEP『Sang Stasia!』をリリース。
THEESatisfaction時代のローファイ・メロウR&B/ジャジーヒップホップ路線をよりディープに踏襲し、ボーカルのディストーションや浮遊感のあるスぺイシーなサウンドとハーモニーが繰り広げられる、Shabazz Palacesを中心としたBlack Constellation一派らしい西海岸アンダーグラウンド・ヒップホップの傑作。
Stas Thee Boss – Keys
Shabazz Palaces feat. Stas THEE Boss – MEGA CHURCH
#7 : Liv.e
テキサス州ダラス出身のプロデューサー、シンガー、ラッパーLive.e(リヴ)。
音楽家の家族の中で育ち、エリカ・バドゥらも通ったBooker T. Washington’s Schoolやシカゴ美術館附属美術大学でアート、音楽を学んだ後2017年EP『F.R.A.N.K.』でデビュー。
2019年にはBbyMuthaらとともにLAのラッパー、Earl Sweatshirtのツアーサポート、Alchemistプロデュースの「MTOMB」でのコラボレーションで注目を集めるようになった。
ファンク、ソウル、ジャズ、サザンヒップホップの影響を感じるローファイなサンプリング・サウンドプロダクションに、妖艶でヒプノタイズなボーカル&ラップが絡むスモーキーな内容。
Liv.e – I Been Livin
(Liv).e – Lessons From My Mistakes…But I Lost Your Number
#8 : Ashia Karana
アトランタ出身のシンガー、ラッパーのAshia Karana(アシア・カラナ)。
煌びやかでローファイなトラップビートやスムーズでメロディックなR&Bサウンドに語り掛けてくるようなラップ&ボーカルはIAMDDBの創造性とGeorgia Anne Maldrowの芸術性を想起させるもの。
2020年にデビューEP『Trust』をリリース。
同郷のヒップホップデュオ、Eathgangとのコラボレーション『Tears of Joy』も好評な期待の新人です。
Ashia Karana – Mirr Check
Ashia Karana – TRUST Theme
#9 : BIA
ボストン出身でLAを拠点にするラッパー、シンガー、ソングライター、モデルのBianca Landrauのステージネーム、BIA(ビア)。
T.Iが製作総指揮を務めるTVリアリティショー、”Sisterhood of HipHop“に出演し注目を浴び、Pharrell Williamsが設立したレーベル、i am O therからデビューし、2018年EP『NICE GIRLS FINISH LAST: CUIDADO』をリリース。
アトランタのラッパーRussとのコラボレーション『Best on Earth』のヒットで脚光を浴び、その後もVictoria Monet、Kali Uchisらとも共演しておりその存在感が増してきています。
2020年12月にアルバム『FOR CERTAIN』をリリース。重たくクールな2020年代らしいトラップサウンド。
BIA – SAME HANDS
BIA – COVER GIRL
#10 : Ivy Sole
シャーロット生まれ、フィラデルフィア在住のシンガー、ラッパーTaylor C. McLendonのステージネーム、Ivy Sole(アイヴィ・ソール)。
サザンラップ、ゴスペル、ソウル、スポークンワード、ブームバップなどの影響を受けたサウンドとスピリチュアルでピュアな存在感のあるフロウが持ち味。
2016年にアルバム『Eden』でデビュー、2020年にはEP『SOUTHPAW』をリリース。
イギリスのエレクトロポップシンガーShuraや、同郷ラッパーLojiらアンダーグラウンドシーンのアーティストとのコラボも秀逸。
Ivy Sole – KISMET ft. lojii
Ivy Sole – Rollercoaster
#11 : Jozzy
テネシー州メンフィス出身のシンガーソングライター、ラッパーJocelyn “Jozzy” Donaldのステージネーム、Jozzy(ジョジー)。
ティンバランド、ミッシー・エリオットの下で5年間ほどソングライティングを学び、カントリー界の大スター、ビリー・レイ・サイラスとLil Nas Xとのバイラルヒット『Old Town Road』のリミックスに参加し脚光を浴びる存在に。
2020年EP『Soul Therapy: APT 215』をリリース。ティンバランドの下で培ったサウンドプロダクションは静かで緻密で内省的空間を構築し、美しく放たれるドリーミーな歌声、フロウが魅惑的に響きます。
ファーギー、ティナーシェやBlack Coffeeなど多数のコラボレーションでも注目です。
Jozzy – Pleasantville
Black Coffee – 10 Missed Calls feat. Pharrell Williams & Jozzy
#12 : Cartel Madras
カナダ、カルガリー出身のインド系姉妹ヒップホップデュオ、Cartel Madras(カルテル・マドラス)。
ダークなトラップ、エレクトロニックサウンドとパワフルなデュオのラップが冴えわたる、彼女らが提唱する『Goonda(ヒンディ語由来のギャングスタの意)ラップ』が炸裂します。
2019年に2枚のEP『Trapistan』と『Age of the Goonda』をリリース。
Princess Nokiaに触発されたというエクスペリメンタルでパンキッシュなスタイルの新世代アンダーグラウンドヒップホップは、2021年のダークホースになりそうな存在。おススメです。
Cartel Madras – WORKING
Cartel Madras – Goonda Gold
#13 : Sydanie
カナダトロント出身でジャマイカ人とトリニダード人の両親を持つラッパー、Sydanie(シダニー)。
2017年EP『stillwater』でデビュー後、2018年にリリースされたアルバム『999』はカナダのCBC Musicによる音楽賞、2019 Polaris Music Prizeの優れたアルバムに贈られる「ロングリスト」に選出。
また、カナダ在住コロンビア出身の天才歌姫、Lido Pimientaのツアーサポートも経験。
エクスペリメンタルなエレクトロニック、トラップ、ドラムンベースを主体としたエッジの効いたサウンドと、Little Simzを思わせるような切れ味の良い、ダイレクトなフロウが魅力的なカナダの新鋭ラッパー。
Sydanie – Purple Carousel
Sydanie – I want u 2 see this
注目の新鋭アンダーグラウンド ヒップホップアーティスト : まとめ
2021年に注目したい女性ラッパー、 ヒップホップアーティスト でした。
メジャーシーンはトラップ一辺倒なところがありますが、エレクトロニック、ジャズ、ネオソウル、オルタナティブR&Bなど、それぞれ個性的なアプローチで魅力的ですね。
2020年おススメ女性ラッパー特集はこちら。