コンゴ生まれの移民としてベルギー、ブリュッセルを拠点にするラッパー、シンガーソングライターのMarie-Pierra Kakoma(マリー・ピエラ・カコマ)のステージネーム、 Lous and the Yakuza (ルース・アンド・ザ・ヤクザ)。
コンゴの名医の娘として生まれるも第二次コンゴ戦争の勃発により母親が投獄されるなど(のちに釈放)を経て戦禍を逃れる形でベルギーへ、その後ルワンダに移住するも2011年に再びベルギーへと移住するという、困難と苦闘の中で生きてきた彼女。
そんな中シンガーを目指し、2019年シングル『Dilemme』でデビュー。
苦闘の人生は彼女を鍛え上げ、強く肝が据わった眼差しと稀有な存在感と説得力を与えたこの曲はヨーロッパのラジオ局を中心にワールドワイドにヒット。
2020年10月にはデビューアルバム『Gore』をリリース。
2022年11月には1st同様、プロデューサーEl Guinchoとのタッグによる2ndアルバム『IOTA』がリリースされています。
やはり気になるステージネームにつけられた”Yakuza“、そう日本のいわゆる反社組織由来でつけられたもので、日本人からするとちょっとビックリしてしまいますが、彼女の日本好き(日本にはまだ来たことはないそう)と、前述の経験から得た強固な決意のようなものを反映させたくてつけられたもののようです。
Lous and The Yakuza : レビュー
Kisé
『IOTA』より、スリリングなトラックにラップとボーカルとシームレスに乗せた彼女らしいキリリとした作品。
Lubie feat. Damso
ベルギーのラップ界のスター、Damsoをフィーチャーしたアコースティックなトラック。
Dilemme
デビュー作。困難の中で立ち上がるレジリエンスをフランス語に乗せてエモーショナルに説くラップ&ボーカル。バルセロナ拠点のトロピカルサイケ・プロデューサー、El GuinchoことPablo Díaz-Reixaがほとんどの曲をプロデュース。
Tout est gore
ミニマムなトラップビートにアフロビートを合わせたダークポップな雰囲気のトラックとラップが絡み合い、独特のエキゾチックさを醸し出しています。
Amigo
短く切り刻むシンセバウンドするドラム、パーカッションに霞むようなファルセットを合わせたエレガント且つダークさをともなうトロピカルビート。
Bon Acteur
シルキーで滑らかなボーカルと力強く華麗なラップの組み合わせ。そして彼女のこの存在感!
Laisse moi feat. Hamza
ブリュッセルのラッパー、Hamzaとのカップリング。ギターのメロディが印象的なクールで静寂に包まれたビートに二人のどこか キャッチーなボーカルワークが安心感を与えるヒップホップチューン。
Tiny Desk(Home) Concert
必見です!
まとめ
ベルギー発の2021年注目アーティスト、 Lous and the Yakuza (ルース・アンド・ザ・ヤクザ)でした。
この圧倒的存在感、強い精神性と爆発的な創造力、しなやかな表現力は確実に2021年の目玉になるアーティストであり、FKAツイッグス、ビョーク 、エリカバドゥなどのような音楽を超越した生き方としてのアイコンになると断言します。
“Lous”とは”Soul”のアナグラム、そして”Yakuza”…社会から排除された自身の経験とシンクロしている日本の言葉を名前に刻み、一人一人がどれほどユニークで重要な存在であるかを語るデビューアルバム「Gore」に続き『IOTA』も必聴アイテムです。