ニューヨーク、クイーンズ生まれで80年代後半から第一線で活躍するヒップホップレジェンド、女性ラッパーの第一人者でもあるLana Michele Moorer(ラナ・ミッシェル・ムーラー)のステージネーム、 MC Lyte (エムシー・ライト)。
80年代からRoxanne Shante、Salt N’ Pepa、Queen Latifahらとともにフィメールラッパーの黎明期を支え、90年代後半にむかえるDa Brat、Lil Kim、EVE、Missy Elliotなどフィメールラッパーの台頭期においてもけん引役としてその存在感を発揮したまさにレジェンドラッパー。
現代においてもその影響力は計り知れないものがあります。
やや低音でハスキーな声、切れの良いフロウを持ち、オールドスクールタイプのトラックでは飛び切り凄みを増し、90年代後半以降のややメジャーっぽいトラックでも上手くあわせられる柔軟性と高いスキルを持ち合わせた、個人的にもこの年代の女性ラッパーの中ではNo1の存在ですね。
今回はそんなレジェンドラッパーの80年代から90年代全盛期の楽曲をレビューしていきます。
MC Lyte : レビュー
10% Dis
1988年デビューアルバム『Lyte as a Rock』より。
アルバムのメインプロデューサーであるAudio Twoの名トラック『Top Billin’』のブレイクを使ったオールドスクールマナーな内容。
こういうドラムビートだけ!みたいなタイトなトラックの時に一番凄みが増しますね。
MC Lyte – Cha Cha Cha
1989年2ndアルバム『Eyes on This』より。
個人的にMC Lyteのレコードを初めて買ったのがたしかこの曲。ビルボードラップシングルチャートで#1に輝き彼女のブレイクのきっかけになったヒップホップクラシック。ドープでかっこいいですね~、こういうの好きです。
The Fearless Fourの『Rockin’ It』のシンセリフ使いが印象的。
27年後にアメリカ大統領御前で披露するよ、って言っても誰も信じなかっただろうに・・・。
Poor Georgie
1991年3rdアルバム『Act Like You Know』より。
TOTOの名曲『Geogy Pogy』使い。数々のカバー、サンプリングされているこの曲の中でも傑出の出来ではないでしょうか。フロア受けも抜群でした。
Ice Cream Dream
映画 “Mo’ Money (1992) のサントラより。映画の印象は全く記憶にありませんが、Jam & Lewis全面制作のサントラからルーサー・ヴァンドロス&J・ジャクソン、ラルフ・トレスヴァントなどの各曲がヒット。
その中でも最高の出来と称されるのがこの曲。
EPMD“So Watcha Sayin'”ネタというべきか、B.T Express“If It Don’t Turn You on”ネタというべきか、のギターリフを効果的に、そしてキャッチーに仕上げてしまうJam&Lewisワークもさすが。
Ruffneck
1993年4thアルバム『Ain’t No Other』より。
極太ビートで男性的な、ゴリゴリに押し出すビートでも負けない、むしろ凌駕するMCスキルが圧巻なダンスフロアでもひときわ映えた一曲。これかかってるだけでフロアが硬派なカッコよさに包まれます。
Cold Rock a Party feat. Missy Misdemeanor Elliott
1996年5thアルバム『Bad as I Wanna B』より。
4作までのAudio Twoのバックアップではなく、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いのジャーメイン・デュプリをメインプロデューサーに据え、Bad Boy Entartainment、R-Kellyなどをバックに前作までよりもメジャー路線のアプローチ。
この時代っぽい、Diana Ross“Up Side Down”ネタ。デビュー寸前のミッシーエリオットとの共演。
Top Billin’
1998年6thアルバム『Seven&Seven』より。
プロデューサーはファレル・ウィリアムズのネプチューンズ、ミッシーエリオットなどが手掛けながらも商業的には今一つでした。
その中でも10年を経て大恩人のAudio Two『Top Billin’』をカバーしたのはファンとしては嬉しいところ。
まとめ
女性ラッパーシーンをけん引したヒップホップレジェンド、MC Lyte(エムシー・ライト)でした。
派手さ、セクシーさみたいなものではなく、堂々とした凄みのあるフロウをどんなトラックにも絶妙に合わせるプロフェッショナリズムで上り詰めた人ですね。現代女性ラッパーにも多くの影響と尊敬を受ける存在なのも当然です。