カナダ系アメリカ人でLAを拠点にするシンガー、 Robin Thicke (ロビン・シック)。
父親は俳優のアラン・シックで、クリスティーナ・アギレラやピンクなどのソングライターとして舞台裏でキャリアをスタートさせ、2006年デビューアルバム『The Evolution of Robin Thicke』以来、地道な活動を続けていましたが、2013年の6枚目になるアルバム『Blurred Lines』のタイトルトラックでPharrell Williamsと共演した”Blurred Lines(今夜はヘイヘイヘイ)“の大ヒットにより、たちまちスターダムへと駆け上がっていくことに。
デビュー当初はベースは70年代のソウルを基調とした、Mayer Hawthorneを少し地味にしたようなブルーアイドソウルでしたが、アルバムを経るごとに徐々にポップ色が色濃くなっており、ちょっと大人だけどやはり地味なJustin Timberlake、といった流れの中から”Blurred Lines“でファレル・ウィリアムズに触発されたのか一気にポップ色が全開となった感がありました。
その成功は功罪相半ばする結果となり、マーヴィン・ゲイの”Got to Give It Up“のパクリだと訴えられ700万ドル以上の賠償を支払い、MVは性差別的な批判を浴び、マイリー・サイラスとの過激なパフォーマンスにより離婚騒動へと発展するなどと喧噪の中にいたのは早8年前。
その翌年に発表した『Paula』からはアコースティックサウンドを中心に、タンゴやサルサ、ボッサフレイバーを効かせた大人のポップス路線へと舵を切っていた彼の7年ぶりになるアルバム『On Earth, and in Heaven』は2021年2月にリリース。
前作『Paula』路線を踏襲したオーガニック感とほど良いポップス感による落ち着きのある洗練されたサウンドが展開されておりなかなか好感が持てる内容です。
その『On Earth, and in Heaven』を中心に”Blurred Lines“以外の過去作をレビューしていきます。
Robin Thicke ; レビュー
Take Me Higher
『On Earth, and in Heaven』より3曲。
“Blurred Lines“以来のファレル・ウィリアムズとのタッグはイントロの爽やかなギターサウンドから一転して80年代ディスコテイストへと展開。どこかKool & The Gangの『Ladies Night』を思わせますが、あの曲ほどのパクリ感はないので大丈夫かな?
Hola
グルーヴィなベースラインとともに、ボッサ感とオーガニック感がちょうど良くブレンドされた上品な楽曲。この路線はイイですね。
Look Easy
パーカッションとギターがラテンフレイバー漂うアダルトなR&Bチューン。
Get Her Back
前作『Paula』より、奥様ポーラ・パットンへ捧げる懺悔のバラード。
Ooo La La
アルバム『Blurred Lines』より。ポップ路線のアルバム路線のアルバムの中でキラリと光るセンスの良いR&Bチューン。
Got 2 Be Down
デビューアルバム『The Evolution of Robin Thicke』より、Faith Evansを迎えての70年代風R&Bソウル。
まとめ
元ポップスターの新たなステージ、あの狂騒がウソのように落ち着き、マイペースにリラックスした自分の世界観を繰り広げているRobin Thicke(ロビン・シック)でした。
ほど良いポップス感と洗練されたサウンドはなかなか好感が持てます。
『On Earth, and in Heaven』はニュージャックスウィングで一世を風靡した元モータウン・レコーズのCEOでもあるプロデューサーの故Andre Harrellとの遺作でもあり、そのAndre Harrellや父親のAlan Thickeへのオマージュ作品でもあるとのことです。