ジャイルズピーターソンがコンパイルした『Sunny Side Up』や、地元レコードショップPlug Seven RecordsとWondercore Islandが手を組んだコンピレーション『Seven Wonders』によって世界に発信され、早耳アンダーグラウンド系リスナーから高い支持を得ているオーストラリア、メルボルンのジャズ・クロスオーバーシーン。
段々とその全容(?)が明らかになってなってきましたが、今回はその『Sunny Side Up』や『Seven Wonders』で取り上げられていた中でもサクラタップス音楽部的に注目したいアーティスト6組を取り上げてご紹介していきたいと思います。
Hiatus Kaiyoteから30/70 Collective、Sampa The Great、Ta-Kuなどなど当サイトでもオーストラリアのフューチャーソウル、ジャズクロスオーバーシーンのアーティストを数多く紹介していますが、まだまだたくさんの才能が存在する特にこのメルボルンのシーンにおいては今後も要注目です。
Laneous
ブリスベンでKAFKAというファンクバンドを結成し、2016年よりメルボルンを拠点に活動するLachlan Mitchellのステージネーム、Laneous(レニアス)。
KAFKA時代からジャイルズピーターソンによるネクストブレイカー発掘コンピレーションバイブル、Brownswood Bubblers 4にMayer Hawthorne、Floating Pointsらと共にコンパイルされ、オーストラリアミュージックシーンのヒーロー、Hiatus Kaiyoteのサポート参加、そのHiatus Kaiyoteのメンバー、Nai Palmも天才と認めた存在に。
2019年初ソロアルバム『Monstera Deliciosa』をリリース。Hiatus KaiyoteのPaul BenderとSimon Mavin、Cactus ChannelからHudson Whitlockも参加し、世界中の主要ラジオホストやDJたちの注目を集め、2020 Worldwide AwardsのAlbum of The Yearにもノミネートされています。
Laneous – Hold My Hand
Laneous – Nice To See You
Surprise Chef
4人組インストルメンタル・ジャズファンクバンド、Surprise Chef(サプライズ・シェフ)
70年代のジャズファンクとアフロジャズ、ポストロック、サイケデリックの影響を受けており、2019年にインディペンデントからリリースされたデビューアルバム『All News Is Good News』は世界中のアンダーグラウンド系リスナーから好評を得てリリースから1週間で完売(その後再発)。
古き良きジャズファンクと現代的感性の融合によるファンクグルーヴは、現在日本や世界で急速に人気を高めているKhruangbin(クルアンビン)のグルーヴ感と完全にシンクロしている内容なのでクルアンビン好きには是非。
Surprise Chef – Blyth Street Nocturne
Surprise Chef – All News Is Good News
WVR BVBY
Carl Lindeberg (Bass) 、Phoebe Elsworth (Keys) 、Joe Orton (Guitar) 、Tommy Harrison (Drums) 、Harry Cooper (Saxophone) 、Erica Tucceri (Flute) 、Nathaniel Sametz (Trombone) 、Charlie Woods (Trumpet)からなる8人編成ジャズコレクティブ、WVR BVBY(発音はワーベビー)。
ダウンテンポ、シネマティック・ソウル、ジャズを基調としたコズミックで浮遊感のあるリズムセクションとそれを際立たせるホーンセクションによる心地よくも瞑想的なポリメトリック・グルーヴ。
UKジャズやクレート・ディガーによるサウンドプロダクションにも通ずる現代トレンドのど真ん中にいる新世代ジャズ。
WVR BVBY – 411
WVR BVBY – Custard Shoulder
Kuzich
ミュージシャン、アーティスト、思想家で構成され、メルボルンのアスコット・ヴェールで設立されたアーティスト集団、Mandarin Dreams(マンダリン・ドリームズ)においてSilentjay、Horatio Luna、Clever Austinらとともに中心人物のひとりであるマルチ奏者、プロデューサーのKuzich(クズィッチ)。
ドラマーとしてもTa-ku、Joyce Wrice、Sampa The Great、Tame Impalaのバックドラマーとしてツアー動向もしており、そういった繋がりの影響も感じさせるヒップホップ的アプローチのオーガニックでサイケデリックなリラクシンミュージック。
Rinjani Nightでは佐藤博1979年作ジャパニーズレアグルーヴ『カリンバナイト』の”カリンバ”がサンプリングされています。
Kuzich – Rinjani Nights
Kuzich – Innvervisions (feat. Mei Saraswati)
The Rookies
バンドリーダーのグレッグ・シャー(アルトサックス)にトム・スライ(トランペット)、ジョエル・トリッグ(ピアノ)、オスカー・ネイランド(コントラバス)、クリス・キャメロン(ドラムス)によるローカル感漂うヒップジャズバンド、The Rookies(ザ・ルーキーズ)。
地元のバーでいまも演奏を続けており、その躍動感のつまった自由奔放なモーダルジャズは、ノスタルジックな感覚と混沌としたエネルギーに溢れたアグレッシブさを感じさせるもの。
国内外からのゲスト参加によるセッション、コラボも聴いていてウキウキとさせられます。
THE ROOKIES – Love is Everywhere feat. Ben Gillespie
The Rookies – Softly, As in a Morning Sunrise
Jazz Party
バンドリーダー兼ソングライターのDarcy McNultyを中心とする8ピースのカルトジャズパンク、サイケデリックバンド、Jazz Party(ジャズ・パーティ)。
情熱的なドラムセクションとパワフルなホーン、クラシカルなピアノトーン、ソウルフルな女性ボーカルによるB級スパイ映画のサントラのようなノスタルジックジャズブルースを展開します。
ニューオーリンズスタイル、ヴィンテージソウル、ラテンメキシカン、サイケデリックが混沌と混ざり合ったスモーキーなナイトクラブの世界観です。
Jazz Party – Magic Man
Jazz Party – Rock N’ Roll Graveyard
メルボルン・ジャズクロスオーバーシーン : まとめ
メルボルン・ジャズクロスオーバーシーン 注目のアーティスト6選でした。様々なアプローチの多様な音楽性がみられる、なかなかアツいこのメルボルンのジャズクロスオーバーシーン。
2020年代のメルボルン/テルアビヴ両都市は世界のミュージックシーンには欠かせない注目の存在になること間違いなしなので今後も注目していきたいと思います。