サウスカロライナ州出身、現在はLAを活動拠点としている、若手エレクトロ・シンセポップ、チルウェーヴの代表格とでも言いましょうか、アフリカンアメリカンの父とアジア系の母を持つ、どこか日本人にも親しみやすい顔立ちのミュージシャン、チャズ・バンディックのソロプロジェクト Toro y Moi (トロ・イ・モア)。
フジロックやTaicoClubにも出演しているので、日本でもかなり人気の高いアーティストですね。
前途の通りチルウェーヴの代表格でもありますが、ジャンルとして捉えるとかなり広いんじゃないかと思います。曲によってはかなりインディロックやファンクの要素も多分に含まれ、特にアルバム「What For?」ではその要素が強かったんですが、2017年作「Boo Boo」ではチルウェーヴとしての新たな方向性を示した作品になっています。
そもそもチルウェーブって?
ややチープでレトロな打ち込みとシンセサイザーを使ったトラックと加工したボーカルの組み合わせによるシンセポップ、といったところでしょうか。古くはニューウェーブ、ドリームポップやトリップホップから派生してきたインディ・ミュージックとして使われています。
と、ジャンルなんてものは「感覚的」なものであまり意味をなさないとも思っていますが、ちょっと振り返ってみました。
で、最近では2018年7月にはフィラデルフィアのラッパー、 Rome Fortune (ローマ・フォーチュン)とのコラボEP、「 TORO Y ROME VOL. 1 」をリリースし、2019年には6枚目のフルアルバム「Outer Peace」をリリース。今までのチルウェーブの流れによりディスコやポップのエッセンスを前面に出した作品になっています。
Review(レビュー)
Ordinary Pleasure
2019年作「Outer Peace」より。チルウェーブマナーでありながらもTom Mischとかとも合いそうなスムースディスコに寄っているつくり。
Freelance
エレクトロっぽさを前面に押し出したバックトラックとユニークで遊び心のある効果音(声?)や歌い回しが随所で効果的にキマッてます。
You and I
2017年アルバム「Boo Boo」から。80年代シンセポップを思わせるこのアルバムで最もチルでスウィートな一曲。
saturday Love
こんなのもやるんだ。な、CherrelleとAlexander O’Nealの1985年R&B大クラシック曲、saturday Loveをトロイモア的解釈でカバー。
Omaha
「トランプ大統領就任を受け最初の100日間の就任で、この政権の脅威になる原因を守るためのキャンペーン『Our First 100 Days』」というコンピレーションアルバムに収録。
Still Sound
アルバム、「Underneath The Pine」から。フェンダーローズの浮遊感が気持ちいいドリーミー・チルウェーブ。
Pitch Black feat. Rome Fortune
Rome FortuneとのコラボEP、「TORO Y ROME VOL. 1」から。Pitch ForkでBest New Trackに選出されているフューチャーヒップホップ。
まとめ
ミスター・チルウェーヴ、チャズ・バンディックのソロプロジェクト Toro y Moiでした。インディポップとエレクトロポップのいいとこどり+ファンクやディスコエッセンスが入ったどこか親近感を与えるサウンドはやはりトロイモアのキャラクターから来ているんでしょうかね。