ニューヨークを拠点にするトランぺッターのIvan Jackson(イヴァン・ジャクソン)とドラマーのConor Rayne(コナー・レイン)からなるプロデューサーデュオ、 Brasstracks (ブラストラックス)。
その名の通り、ブラス(トランペット)とトラック(スネアドラム)によるジャズ、ヒップホップ、ファンクのエッセンスを取り入れたパーカッシブ&ホーンを強調したサウンドを軸に形成する、ユニークなトラックメイクが特徴的。
ふたりはマンハッタン音楽大学でジャズを学んでいた時に出会い、音楽院生活への退屈さと共通の感性で意気投合しすぐに一緒に曲を書き始め、2014年には初のコラボレーション作品をSoundCloudに投稿。2016年に初のEP『Good Love』をリリース。
そしてChance The Rapperの2017年グラミー最優秀ラップパフォーマンス賞受賞作品である『No Problem』をプロデュース。Anderson .Paak、Robert Glasper、Wyclef Jean、Yung Bae、Masego、Kyle Dion、Mark Ronsonなどなど今旬のアーティストとのコラボレーションも実現され、人気プロデューサーチームとして確実にその地位を築いています。
2017年『For Those Who Know』ではRobert GlasperやXavier Omarとのコラボレーションを見せてくれていたふたりが3年ぶりのアルバム『Golden Ticket』を2020年8月21日にリリース。今回もRobert Glasperはじめ、Samm Henshaw、Masego、Commonなど多彩なゲストを迎えての全13曲はハズレなしの出来栄え。
その新作中心に彼らのワークも含めレビューします。
Brasstracks : レビュー
Change For Me feat. Samm Henshaw
ロンドンのシンガーソングライター、Samm Henshaw(サム・ヘンショウ)をフィーチャー。彼のヒット作でトヨタカローラのCMにも使われていた『Charch』にどことなく似ているソウルフル&ポジティブな作品。
Golden Ticket feat. Masego,Common
アルバムタイトルトラックにはマセーゴとコモンをフィーチャー。このキャスティングだけで聴かない手はないです。期待を裏切らないピアノを基調としたスムースジャジートラックに二人の掛け合いと遊び心が楽しい。
Nothing Better
NYを拠点にするシンガーFatherdude(ファザーデュード)と、シカゴのポップシンガーJohn Splithoff(ジョン・スプリソフ)がボーカル担当する爽やかなポップチューン。
Movie
イギリスの新星ネオソウルシンガー、Ady Suleiman(アディ・スレイマン)とはブラストラックス的なネオソウルサウンドを展開。
Say U Won’t
2016年『Good Love』より。
Brasstracksサウンドを象徴する多層的なホーンの重ねっぷりとカラフルなトラック展開がお見事なインストルメンタル。
Alexander Lewis – Pearl Magnolia
個人的に好きなBrasstracksワークのおススメその①。
トロンボーン奏者兼トラップトラックメイカーのAlexander Lewis(アレキサンダー・ルイス)とのタッグによるブラスリッチなトラックに、ラッパー&シンガーがめくるめく畳みかけてくるアガること間違いない一曲。
Jarreau Vandal – Nobody Else
個人的に好きなBrasstracksワークのおススメその②。
オランダ出身でサンディエゴ拠点のDJ,プロデューサーのJarreau Vandal(ジャロウ・ヴァンダル)とのタッグによる女性ボーカルものの、こちらも展開の仕方がツボなエレクトロニックサウンド。
Chance the Rapper ft. 2 Chainz & Lil Wayne – No Problem
言わずと知れたチャンスのグラミー受賞代表曲のひとつ。
まとめ
ブラス&ドラムによる未来型トラックメイカー、Brasstraks(ブラストラックス)でした。
トランペット&ドラムスを基本としたワンパターンになりそうな組み合わせですが、まったくもってそんなことは感じさせない多彩なトラックメイクで楽しませてくれます。
新作『Golden Ticket』もヒップホップ、R&B、ファンク、エレクトロニックなどのアプローチでありながら、どの曲もBrasstraksらしいと思わせる非常に魅力的な内容。ハズレなしです!