プロデューサー、シンガーソングライターでNice Life Recording Companyのレーベルオーナーを務めるEric Burton Fredericのステージネーム、 Ricky Reed (リッキー・リード)。
西海岸ベイエリアの3ピースインディロックバンド、Facing New Yorkのリードボーカルとして2004年から活動しており、2009年には5人組ポップ・バンドWallpaperの立ち上げの傍ら、様々なアーティストへのプロデューサー業も並行してマルチに活動。
とりわけプロデューサー業での手腕が大きく注目されるようになり、CeeLo Green、Fifth Harmony、Pitbull、Twenty One Pilots、Icona Pop、Leon Bridges、Lizzoらロック、ポップからソウル、ヒップホップまで多岐にわたるアーティストを手掛けているところがこの人のすごいところ。
中でも記憶に新しいのが2019年に旋風を巻き起こしグラミー5部門にノミネートされたLizzoのアルバム『Cuz I Love You (Deluxe)』およびそのシングル『Truth Hearts』のプロデュースワークではないでしょうか。
そのリッキー・リードが初ソロアルバム『The Room』を2020年8月にリリースしており、有名無名様々なアーティストを迎えて繰り広げられる楽曲の数々はプロデューサー業で養った高いセンスとバラエティに富みながらも決してパーティチューンなアプローチではなく、メランコリックでディープに纏め上げた心地よいグルーヴ感に包まれた内容になっています。
その初ソロアルバムを中心にレビューしていきます。
Ricky Reed : レビュー
Ricky Reed, Leon Bridges & Kiana Ledé – Better
Leon BridgesとKiana Ledeのデュエットによる郷愁感のあるノスタルジックR&Bは、この厳しい年の正しい時間のあり方を表現したもののよう。
Real Magic
Terrace Martinとの共同制作でNice Life Recording Company所属の女性シンガーSt. Pantherがボーカルを担当する、Ghost Town DJs『My Boo』を想起させるようなメロウ系マイアミベース。おススメ。
Fav Boy
John-RobertとAlessia Caraのツインボーカルによる2:37秒の曲ですが、もう少し長くてもいいんじゃないかと思わせるような、可愛らしくてほっとするようなスムースなポップ。
Catch You
コロンビア出身、カナダを拠点にする注目シンガー、Lido Pimienta(リド・ピミエンタ)を迎えた南米フレイバーと、Thundercat(ではないですが)っぽいベースラインが非常に特徴的なラテンエレクトロニック。
The Greatest Showman Cast – Come Alive
ここからはプロデュース作品の一部をご紹介。
ヒュー・ジャックマン主演の大ヒットミュージカル映画『The Greatest Showman』のミュージカルナンバーも手掛けています。
DRAM – Cash Machine
愛されラッパーDRAMの出世作も手掛けています。同じリッキー・リードプロデュースのLizzo『Truth Hearts』原型のような曲ですね。
Lizzo – Juice
Lizzoのグラミーウィナーアルバム『Cuz I Love You (Deluxe)』からの大ヒット作。素晴らしいポップセンスです。
まとめ
西海岸の天才マルチヒットメイカー、Ricky Reed(リッキー・リード)でした。
アルバム『The Room』は2020年という時代背景が反映されたバラエティに富みつつも派手さを抑え、しっとりとステイホームで聴き込むには最高の仕上がりになっていると思います。
類まれなポップセンスを堪能できる空気の中に溶け込んでいくような”ルームサウンドトラック”として長く聴けるアルバムではないでしょうか。