70年代のクロスオーバー〜フュージョン、ジャズファンク、スピリチュアルジャズシーン、あるいはフリーソウルやレアグルーヴの文脈から、この時代ならではの美しくも妖艶なメロディとジャズの組み合わせによる大人な世界を演出するレアな音源を集めてみました。
ミスティック=神秘的という言葉がピッタリと合うような極上メロウグルーヴの数々、サクラタップス音楽部が自信をもっておススメする珠玉の”極上ミスティック・メロウ・ジャズ“16選です。
- Cortex – Prélude à Go Round
- Steve Kuhn – The Meaning Of Love
- Weldon Irvine – Music Is The Key
- Doug Carn – Sweet Seasons
- Duke Pearson – Stormy
- Donald Byrd & The Blackbyrds – Wind Parade
- George Duke – Someday
- Jon Lucien – Maiden Voyage
- Kellee Patterson – See You Later
- Lonnie Liston Smith – Summer Nights
- Michal Urbaniak – A Day In The Park
- Starcrost – Quicksand
- James Mason – Good Things
- Tarika Blue – Love It
- 日野 皓正 – This planet Is Ours
- Hubert Laws – Land of Passion
- 極上ミスティック・メロウ・ジャズ 16選 : まとめ
Cortex – Prélude à Go Round
キーボーディストのAlain Mion(アラン・ミヨン)率いるフランスの伝説的ブラジリアン・ジャズファンクバンド、Cortexの74年作。
今回のテーマにピッタリとハマる、ミスティックな女性スキャットとサウダージ感たっぷりなメロウグルーヴの組み合わせ。
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Steve Kuhn – The Meaning Of Love
60年代から今もなお現役で活動するニューヨーク出身のジャズピアニスト、キーボーディストのSteve Kuhn(スティーヴ・クーン)の71年作。BBNGやJazzanovaのコンパイルでも取り上げられた、スティーヴ本人による気怠くブルージーに歌い上げるボーカルがレイドバック感たっぷりな人気曲。ベースはロン・カーター。
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Weldon Irvine – Music Is The Key
“De Ja Vu”や”I Love You”など、レア・グルーヴやフリーソウルマニアからも絶大な人気を誇るジャズファンク系ピアニストWeldon Irvine(ウェルドン・アーヴィン)76年作。
比較的ソウル色が強く程よいスピリチュアル感とポップ感が混ざり合った名アルバム、『Sinbad』から女性ボーカルが優しく包み込んでくれる、とびきりメロウなソウルジャズ。
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Doug Carn – Sweet Seasons
漆黒のスピリチュアル・ジャズの代名詞的鍵盤奏者、Doug Carn(ダグ・カーン)の71年作。奥方で70年代ソウルシーンの名コラボレイターでもある女性ボーカリスト、Jean Carn(ジーン・カーン)との共演。
どこまでもひたすらブラックネスでソウルフルな70年代スピリチュアル・ジャズ・ファンクの名作中の名作。
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Duke Pearson – Stormy
60年代ハードバップの創始者のひとりとしても活躍したジャズピアニスト、Duke Peason(デューク・ピアソン)による74年作。
軽やかなボッサグルーヴと弾むエレピ、女性ボーカルが混然一体となって爽やかに駆け抜ける爽快感はブレイクタイムにもピッタリなBGMにも最高な一曲。
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Donald Byrd & The Blackbyrds – Wind Parade
ジャズファンクを語る上で外せない重要トランぺッター、Donald Byrd(ドナルド・バード)の数々の名曲の中でも屈指のミスティック・メロウ・レアグルーヴ。
神秘的なイントロから美しい女性ボーカル、間奏のストリングスやトランペットソロ、ドナルド・バード門下生、The Blackbyrdsたちによるアンサンブルと、どこを切り取っても聴きどころの超おススメの逸品。
ヒップホップファンにはBlack Moon『Buck Em Down』のサンプリングソースとしても有名。
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George Duke – Someday
ジャズ、ソウル、フュージョン、ディスコシーンでも活躍したGeaorge Duke(ジョージ・デューク)の75年作。
ブラジリアン・メロウなフュージョングルーヴとジョージ・デュークの優しくも朗らかなファルセットボイスが心安らぐ、イージーリスニング感覚で聴ける曲。
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▼70年代ジャジーディスコはこちら▼
Jon Lucien – Maiden Voyage
カリブ海に浮かぶ英領ヴァージン諸島出身のフリー・ソウルファンからも人気の高いジャズシンガー、Jon Lucien(ジョン・ルシアン)の75年作。
ハービーハンコックの66年名作で数々のカバーが存在する『Maiden Voyage』を、メロウなアレンジと激渋低音ボイスでカバー。
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Kellee Patterson – See You Later
前出『Maiden Voyage』の名カバーもしているシカゴ出身のソウル・ジャズシンガー、Kellee Patterson(ケリー・パターソン)の73年作。
前出Doug Khanと同レーベルBlack Jazz Recordsの作品らしい、しっとりとしなやかに進行するアフロジャズグルーヴと伸びやかな魅惑のボーカルが織りなすスピリチュアル&ブラックネスジャズ。
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Lonnie Liston Smith – Summer Nights
レア・グルーヴ/ジャズファンク界のカリスマキーボーディスト、Lonnie Liston Smith(ロニー・リストン・スミス)の75年作。
高湿度で気怠い熱帯夜を想起させる、アンビエントかつレイドバックしたアンサンブル、シンセに包まれ夢の世界へと誘うミスティックジャズの決定版。Roy Ayersの『Everydoby Loves The Sunshine』とあわせて愉しみたい夏のレアグルーヴ必携作。
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Michal Urbaniak – A Day In The Park
ヴァイオリン、リリコン、サックスを操るポーランドのジャズミュージシャン、Mickal Urbaniak(マイケル・ウルバニアク)の78年作。
奥方(離婚しているが)であるポーランドジャズ界のスキャット女王Urszula Dudziak(ウルスラ・ドゥジアック)をボーカルに迎えた幻想的でどこまでも美しいクロスオーバージャズの隠れた名曲。
イントロから女性ボーカルの歌いだしでもうイチコロ。サクラタップス音楽部的超おススメ作品です!
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Starcrost – Quicksand
バレアリックやアンビエントの原型的サウンドプロダクションでごく一部のマニアで人気があり、現在はリイシューにより日本でもCD化されているテキサス州オースティンのジャズファンクバンド、Starcrost(スターコースト)の76年作。
浮遊感のあるボッサ系サウンドに妖艶ミスティックな女性ボーカル&スキャット、ブレイクのフルートも美しい。
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James Mason – Good Things
Roy Ayersのバックバンド、Ubiquityでも活躍したマルチ奏者、James Mason(ジェイムス・メイソン)の77年作。
メロウかつ高揚感のあるサウンドプロダクションに伸びやかな女性ボーカルと幻想的シンセが、ロイ・エアーズ譲りのハイセンスさを感じる極上レアグルーヴ。
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Tarika Blue – Love It
NYのセッションミュージシャン、Phil Clendeninn率いるメロディック・フュージョン/ジャズファンクバンド、Tarika Brue(タリカ・ブルー)の77年作。
Irene Dutcherのボーカルがアダルトに響き、凝った展開が聴き飽きることのないメロウフュージョン。カッコイイ。
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日野 皓正 – This planet Is Ours
日本を代表するジャズトランペッター、日野皓正の78年作。
ジャズファンクやスピリチュアルジャズを志向した4曲入りEP『Hip Seagul』から、笠井紀美子による妖艶でソウルフルなスキャットボーカルと力強いトランペットがループする和物スピリチュアルジャズの大傑作。
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Hubert Laws – Land of Passion
ヒューストンのフルート奏者、Hubert Laws(ヒューバート・ロウズ)の79年作。
レイドバック感とタメの効いたビートとベースラインにセクシーな男女ボーカルハーモニーが引き立つメロウ・フュージョンファンク。ブレイクのヒューバート・ロウズのフルートソロも絶品。
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極上ミスティック・メロウ・ジャズ 16選 : まとめ
70年代の極上ミスティック・メロウ・ジャズ16選でした。
70年代後半から音楽シーンはディスコブームへと移行していく中でジャズの世界もポップ化、ディスコ化の波が押し寄せてくることで、今回ご紹介したスピリチュアルで内省的なメロウグルーヴは徐々に影が薄くなってしまいますが、90年代以降のレアグルーヴブームによって再発掘・再評価されてくることになりましたね。
80年代のポップ化寸前の奇跡的なメロウな世界、いろんなシーンのBGMとしても役立ててみてください。