R&Bシーンの中でボーカルグループは特に70年代以降、多くのグループが世に送り出されましたが、90年代もR&Bシーンは男女ともに様々なボーカルグループが台頭してきます。
それまでのソウル、ゴスペルやディスコの要素を前面に押し出した80年代以前のグループと違い、ヒップホップの要素を多分に取り入れ、特に90年代前半は当時シーンを席巻していたニュージャック・スィングによる新たなサウンドで若者を中心にシーンを盛り上げてくことになります。
その新時代の幕開け、ゲームチェンジャーとしてアイコニックな存在となる ガールズグループ 『TLC』。彼女たちの登場で女性R&Bグループシーンが俄然盛り上がりを見せ、レーベルからプロデューサーに至るまで様々な思惑を乗せたグループが登場してきました。
今回はそんな90年代百花繚乱のボーカルグループ全盛期の中から、TLCにちなんで3人組、トリオで活躍したガールズグループをピックアップしてご紹介します。あなはた全部知ってますか?
90年代を彩ったR&B ガールズグループ 10組
#1 TLC
1990年アトランタで結成。いわずと知れた90年代を代表するスーパー・ガールズグループ。
T-ボズ、レフト・アイ、チリの3人の個性のバランス、当代きってのプロデューサー、ベビーフェイスによる多彩なサウンドプロダクションが見事にハマって全世界的に大ヒット。
2002年不慮の事故でレフト・アイが亡くなった後も活動を続け2017年にもアルバム『TLC』をリリースしていますが、やはりデビュー当時の若々しいイメージ、インパクトが高い90年代R&Bを象徴するグループですね。
TLC – What About Your Friends
TLC – Creep
#2 SWV
1990年ニューヨークで結成。TLCの対抗馬的に人気を二分したこちらも90年代R&Bの代表的ガールズグループ、SWV(Sisters with Voices)。
プロデューサーはBrian Alexander Morganを中心にしたソフトなニュージャックスウィングと、比較的上品で落ち着いたボーカルワークでTLC=ティーン、SWV=20代といった当時のターゲット層だっように思います。
一時活動休止していましたが、現在は活動復活し定期的にビルボードライヴなどで来日していますね。
SWV – I’m So Into You
SWV – Right Here (Human Nature Radio Mix)
#3 JADE
1991年シカゴで結成。上記2組ほどの活躍ではなかったが、印象的な曲を残しているグループ、JADE(ジェイド)。
特にKool & The Gang”Jangle Jazz“のブレークビートを使った『Don’t Walk Away』、哀愁系メロディとキャッチーなコーラスが印象的な『Everyday Of The Week』など、90年代R&Bを語るうえでハズせない曲が多くあります。
現在はグループでの活動よりそれぞれバックコーラスなどで活躍しているようです。
JADE – Don’t Walk Away
JADE – Every Day of the Week
#4 Brownstone
1994年ロサンゼルスで結成。非常にソウルフルな本格派コーラスグループといった印象のBrownstone(ブラウンストーン)。
マイケルジャクソンが設立したMMJ Musicからデビューして話題となり、『If You Love Me』が大ヒットし95年のグラミー賞ベストR&Bボーカル&パフォーマンス賞にもノミネート。
98年に一度解散後2014年再結成。2015年、メンバーの一人シャーメイン・マクスウェルが不慮の事故で亡くなり、現在は新メンバーを加え4人で活動しているようです。
Brownstone – If You Love Me
Brownstone – Grapevyne
#5 TOTAL
1994年ニュージャージーで結成。当時隆盛を極めていたSean “Puffy” Combs(現Diddy)率いるBad Boy Entertainmentから送り出されたガールズグループ、TOTAL(トータル)。
The Notorious BIGのデビューシングル「Juicy」のフック部分を歌って注目を集め、その後のデビューアルバム『Total』でデビュー。
バッドボーイ・エンターテイメントらしい、ちょっと不良なガールズグループとして人気を博しました。
2001年解散後、2014年再結成でメンバーのうち2人で活動しています。
Total – Can’t You See feat. Notorious B.I.G
TOTAL – No One Else feat. Da Brat
#6 Blaque
1996年アトランタで結成され、TLCのLeft Eyeに見いだされて彼女のプロダクション会社、Left Eye ProductionからデビューしたBlaque(ブラック)。
99年アルバムデビューなので90年代後発組。ヒットシングル『808』ではR・ケリー、アルバム全体はトラック・マスターズという90年代を代表するプロダクションチームが制作。
2008年一度解散したものの復活し、2019年にはアルバム『Torch』をリリースしています。
Blaque – 808
Blaque – Bring It All to Me feat. *NSYNC
#7 Kut Klose
1994年アトランタで結成。Keith Sweat(キース・スウェット)によって見いだされデビューした、Kut Klose(カット・クローズ)。
94年キース・スウェットのシングル「Get Up On It」のコーラスで初お目見え後、95年アルバム『Surrender』でデビュー。
アルバムは粒ぞろいな内容ながら大きなヒットには恵まれないながらも翌年、96年のキース・スウェット大ヒットシングル『Twisted』のコーラスフックでも活躍。
現在でも地道に活動しており、2010年にシングル「Let It Ring」をリリースするが、アルバムは出していない模様。
Kut Klose – Lovely Thang
Keith Sweat – Twisted feat. Kut Klose , Pretty Russ
#8 MoKenStef
1994年ロサンゼルスで結成、老舗ヒップホップレーベル、Def Damからデビューした、MoKenStef(モ-ケンステフ)。
ヒップホップとR&Bを融合したDef Jamらしいサウンドでしたが、プロモーションが良くなかったのかあまり目立った活躍はありませんした。
しかし、唯一のヒット作といっても過言ではない『He’s Mine』は90年代の名曲として今でも語り継がれ、特にヒップホップグループ、Brand Nubianのメンバー、Grand Pubaをフィーチャーしたリミックス版が秀逸です。
2000年解散後2014年再結成してるようですが、特に活動内容が伝わってこない状況です。
MoKenStef – He’s Mine
2024
#9 Jomanda
1988年ニュージャージーで結成されたJomanda(ジョマンダ)。
元々は80年代後半にハウス系のボーカルトリオとしてデビューし、『Don’t You Want Me Love』などのクラブスマッシュヒットを出していたグループ。
TLCやSWVの商業的大成功を見てレーベルが判断したのか、93年にリリースしたアルバム『Nubia Soul』は思いっきりR&B路線に刷新されていて、当時筆者も戸惑った記憶があります。
とはいえ、Debargeの名曲『I Like It』のカバーをはじめ、そつない内容でファンを楽しませてくれましたが、その後パッとしなかったのは残念。
メンバーのひとり、ジョアントーマスが2003年10月に結腸癌で亡くなり、その後の活動は不明の状況です。
Jomanda – I Like It
Jomanda – Don’t You Want My Love
#10 702
1993年ラスベガスで結成された702(セブンオーツー)。元々は4人組でしたがデビュー前に1名脱退でトリオとしてデビュー。
96年デビューアルバム『No Doubt』ではミッシー・エリオットが共同プロデューサーとして参加し『Steelo』などのヒットによりゴールドディスクを獲得しその勢いで99年『702』ではプラチナ獲得と、90年代後半のガールズグループをけん引。
2006年一度解散後、2016年再結成しているようです。
702 – Steelo
702 – Where My Girls At
まとめ
90年代を彩ったR&B ガールズグループ 10組を紹介しました。全グループ知ってたあなたは90年代ツウですね。
なにげにどのグループも一度解散後、再結成してます。が、再結成後の活動がいまひとつパッとしないところが少し寂しいところ。
やはりその時代のイメージが強い分、なかなか往年の活躍は難しいですですが、ライヴなどでオリジナルの良さを味わいたいですよね。ちょっと今は厳しいですが、そんな時がくることを願いつつ90年代R&Bガールズグループ(トリオ限定)特集でした。
▼90年代R&B女性デュオ特集はこちら▼