バージニア州リッチモンド出身の5ピース・インストルメンタルバンド、 Butcher Brown (ブッチャー・ブラウン)。
メンバーは、マルチインストゥルメンタリスト、プロデューサーのDJ Harrison(DJ ハリソン)、ベース/Andrew Randazzo(アンドリュー・ランダッツォ)、ギター/Morgan Burrs(モーガン・バーズ)、ホーン/Marcus Tenney(マーカス・テンニー)、ドラム/Corey Fonville(コリー・フォンヴィル)で構成。
2014年アルバム『All Purpose Music』でデビュー。
グラミーウィナーでもあるニューオーリンズのジャズ・トランぺッター、ニコラス・ペイトンの2014年アルバム、『Numbers』でのバックミュージシャンとして注目を浴び、クリスチャン・スコットやナイジェル・ホールのLettuce(レタス)、カマシ・ワシントンなど、今をときめくジャズミュージシャンたちとのツアー&セッションバンドとしても高く評価されている腕利きバンド。
ファーストアルバム以降いくつかのスタジオアルバム、ライブアルバムをリリースしていますが、DJハリソンによるサウンドプロダクトによるジャズとヒップホップ、ファンク、ラップ、ロック、ソウルをブレンドした、それぞれのジャンルのレガシーな雰囲気を踏襲しつつもそのジャンルの境界線を創造的に破壊していくような、時にワイルドでファンキー、時にスムースでメロウに展開していく熟練された技が光る作品ばかり。
ジャズの名門コンコードレーベルに移籍し、2020年9月にリリースされた『#KingButch』は、リッチモンドの彼らのベーススタジオであるジェローストーンスタジオで収録され、現代のヒップホップ、70年代のフュージョン、60年代のジャズのアプローチにサザンロックのエッセンスを加えた、いままでのライブアクトとしての経験値を遺憾なく発揮した刺激に満ちている作品となっています。
そして2022年9月16日にはビッグバンドを携えてのアルバム『Butcher Brown Presents Triple Trey (featuring Tennishu and R4ND4ZZO BIGB4ND)』がリリース。
このアルバムでバンドのフロントマンであるMarcus”Tennishu” Tennyが全編にわたりラップを担当しクラシックジャズとファンク、ヒップホップを融合した新たなアプローチに挑戦しています。
Butcher Brown : レビュー
Unbelievable
『Butcher Brown Presents Triple Trey』より、重厚なビッグバンドオーケストレーションをバックにNotoriou B.I.GのUnbliebableをカバー!声がビギーに似てますね。
777
高揚感のあるヴァースと情熱的なパーカッションとホーン。オーケストラルなThe Rootsといった感じ。
Cabbage (DFC)
ファンキーなドラムプレイとパンチの効いたゴージャスなホーンアンサンブルは、Lettuce(レタス)の『Good Morning Mr. Shmink』を思わせる作り。ん?だからCabbage(キャベツ)!?
Gum In My Mouth
ボサノバチックなローファイサウンドにマーカス・テンニーの歌のようなラップのようなボーカルがスパイスを与えるユニークな内容。
Frontline
この『Frontline』や『Love Lock』は70年代っぽいスムースなフュージョン。こういうのもさらりとやってのけるところがニクいですね。
Hopscotch
アシッドジャズの雰囲気漂う、1分強の巧みなフリースタイリング。
Tidal Wave
Tom MischとYussef Dayesのプロジェクトでもこの前カバーしてた、Ronnie Lawsの『Tidal Wave』のカバーを持ってきましたね。この曲をサンプリングしたBlack Moonの1993年のヒップホップクラシック『Who Got Da Props』のフレーバーを掛け合わせたような作り。
Mac Ayres – Where Do We Go From Here?/Something More
Mac Ayresのアルバム『Juke Box』でDJ ハリソン名義、ブッチャー・ブラウン名義で各1曲づつ共演していましたが、そのライブ風景。
Nicholas Payton – Three
ニコラス・ペイトンの2014年作『Numbers』より。バックにブッチャー・ブラウンを従えたグルーヴィ&スムースなジャズファンク。
まとめ
無限に広がるファンクネスジャズ、Butcher Brown(ブッチャー・ブラウン)でした。
クリスチャン・スコットが彼らのことをこのように表現しています。
「ジミ・ヘンドリックスの”Band Of Gypsys”とビギー・スモールズ、ディアンジェロ、Jディラを一緒に聴いていて、ジョン・コルトレーンと一緒に座ることができたと想像してみてください…」うーん、なんか想像できるようなできないような、でもなんか言いたいことはわかりますね。
そのぐらい複雑に絡み合っていながらも、一つ一つのジャンルとしての音もクリアに印象付けていくような不思議な魅力を持ったバンドです。