90年代から2000年代にかけて活躍した女性2人組、 女性R&Bデュオ のグループを特集します。
90年代は特にTLCやSWVをはじめ女性R&Bグループ全盛の時代でしたが、振り返ってみると3人組や4人組が主流で、それ以上、または2人組はあまり多くなかったように思います。
今回、この2人組をピックアップする中でも純粋なボーカルデュオという括りでいうと、ここに挙げているグループが主だったところではないでしょうか。
そんな女性2人組の奏でるハーモニーが美しい、90年代R&Bデュオ7組をご紹介します。
▼90年代R&B3人組特集はこちら▼
Zhané
言わずと知れた90年代を代表する女性R&Bデュオ、といえばまず思いつくのがこの二人ですね。
Jean Norris-Baylor(ジーン・ノリス、現在はベイラー)とRene Neufville(ルネー・ヌーフヴィル)によるディオ、Zhané(ジャネイ)。
どの曲もシンプルだけど非常にハイセンスで美麗なトラックは、当時バリバリの人気ヒップホップグループNaughty By NatureのメンバーKay Geeにより作成されたことも衝撃的でした。
90年代R&Bアンセムのひとつでもある『Hey Mr. DJ』を筆頭に、『Sending All My Love』、Evelyn “Champagne” Kingの名曲カバー『Shame』、『Request Line』などヒット曲も多数ありました。
1994『Pronounced Jah-Nay』1996年『Saturday Night』の2枚の素晴らしいアルバムをモータウンからリリースしましたが、短命での解散となりました。
現在はジーンノリスはジャズドラマーMarcus Baylorと結婚し、ルネー・ヌーフヴィルは故ロイ・ハーグローヴとの共演など、それぞれジャズ畑でのボーカリストとして活躍しています。
Zhané – Changes
Zhané – Crush
Changing Faces
Zhaneと双璧をなす90年代女性R&Bデュオとして成功を収めたCharisse Rose(チャリシー・ローズ)とCassandra Lucas(カッサンドラ・ルーカス)によるChanging Faces(チェンジング・フェイシズ)。
90年代R&Bを代表するプロデューサー、R.Kellyによって『Stroke You Up』を筆頭に『G.H.E.T.T.O.U.T.』、映画”Panther”のサントラ『Freedom(theme from panther)』への参画、他にも映画White Man’s Burden-“We Got Goin On“やエディー・マーフィーのDr. Dolittle-“Do Little Things“などのサントラでも活躍していました。
1994年『Changing Faces』でデビュー、97年『All Day, All Night』、2000年『Visit Me』の3枚のアルバムを発表しその後活動休止。R.Kellyらしい王道メロウR&Bトラックに実力十分な奥深いボーカルが光るデュオでした。
Changing Faces – Stroke You Up
Changing Faces – We got it goin’ on
Les Nubians
フランス人の父親とカメルーン人の母親の間にパリで生まれボルドーで育った姉妹 Hélène(エレーヌ)とCélia(セリア)によるデュオ、Les Nubians(レ・ヌビアン)
1998年デビューアルバム『Princesse Nubienne』からフランス語によるジャジーR&Bの名曲『Makeda』がクラブヒットし、この年代一世を風靡していたエリカ・バドゥやマクスウェル、ディ・アンジェロらネオ(クラシック)ソウルの文脈でも注目される存在でした。
その後も非常にアーティスティックで洗練された、アメリカのR&Bとはまた違ったトリップホップやエレクトロニカのエッセンスを取り入れたサウンドで2003年にはグラミー賞にもノミネートされています。
DJ HasebeやTowa Teiなど日本人アーティストとのコラボレーション、GURUのJAZZMATAAZや、U2のカバーコンピレーション『In The Name Of Love: Africa Celebrates U2』への参加など幅広く活動しています。
現在も進行形で活動しており、彼女たちのホームページやブログでは活動の最新情報を発信しています。
Les Nubians – Makeda
Les Nubians – Temperature Rising 2
JazzyFatNastees
Tracey Moore(トレイシー・ムーア)とMercedes Martinez(メルセデス・マルチネス)により1992年に結成されたデュオ、JazzyFatNastees(ジャジーファットナスティーズ)。
当初は4人組で93年にヒップホップレーベル、Tommy Boyと契約するもののメンバー2人が抜け、そのままレコードリリースはなく契約解除となり、アウトキャストの『Jazzy Belle』のバックコーラスなどを経てヒップホップバンド、The Rootsと出会い1999年アルバム『The Once and Future』でデビュー。
なんとなく地味ながらもクセになる美しいコーラスワークとThe Rootsがバックアップするジャジーな大人のサウンドを聴かせてくれます。
その後、2002年『The Tortoise & the Hare』、2005年『The World Is Coming』とアルバムリリース。商業的にはパッとしませんでしたがスルメタイプの名曲も多く、聴き込むには良い作品です。
JazzyFatNastees – All Up In My Face
Jazzyfatnastees – The Wound
Floetry
Marsha Ambrosius(マーシャ・アンブロシアス)とNatalie Stewart(ナタリー・スチュアート)によるイギリスのR&Bデュオ、Floetry(フロエトリー)。
2000年からアメリカに活動拠点を移し、ジルスコットやビラル、マイケルジャクソン(Butterfly)への楽曲提供などソングライティングで実力を作り、スピルバーグのドリームワークス・レコードから2002年デビューアルバム『Floetic』をリリース。
2005年にはアルバム『Flo’Ology』をリリースし、いずれも全米アルバムチャート20位以内のヒットを記録。
その後はそれぞれ才能を生かしたソロ活動をしていますが、短い期間に二人の才能がギュッとつまったこの2枚のアルバムは必聴です!
Floetry – Say Yes
Floetry – SupaStar feat. Common
▼Marsha Ambrosiusの記事はこちら▼
Bas Noir
ペンシルベニア州フィラデルフィア出身のMary Ridley(マリー・リドリー)とMorie Bivins(モリー・ビヴィンス)によるデュオ、Bas Noir(バス・ノアール)。
1989年結成、90年代前半に活動していたグループで、R&Bというよりもハウスミュージック、クラブミュージック界で、特にコアなファンに受けていた珍しい女性ボーカルデュオ。
NYのガラージハウスレーベルの中でもエッジの効いたジャジーなサウンドを提供していたNu Groove Recordsから『My Love Is Magic』『I’m Glad Came To Me』という絶品のクラブハウスソングを提供し、コアなハウスファンやDJから高く評価されていました。当時から大好きな曲ですが、この2曲は今でも充分カッコイイ、レトロハウスサウンドとして聴けます。必聴!
活動の後半(といっても90年代前半)はR&B系の曲もリリースしていて、ニュー・ジャックスウィング調の『Superficial Love』もクラブでは知る人ぞ知る的ですがプレイされていました。
アプローチやマーケティングがうまくいけばもう少しメジャーなフィールドで活躍できたかもしれませんね。
Bas Noir – Superficial Love
Bäs Noir – I’m Glad You Came To Me (Club Mix)
Terri & Monica
Terri Robinson (テリー・ロビンソン)とMonica Payne(モニカ・ペイン)によるボーカルデュオ、Terri & Monica(テリー&モニカ)。
1989年にThe Gyrlzという3人組グループとしてデビューし、1993年からテリー&モニカとして活動。
1993年アルバム『Systa』でデビュー、ジャネットジャクソンと2Pacの映画『Poetic Justice』のサントラにも収録された『I’ve Been Waiting』、『Uh-Huh』、1996年アルバム『Suga』から『Sexuality』など、Horace BrownやDave Hallらプロデューサー陣による秀逸で堅実なR&Bサウンドを展開していましたが、いま一つ存在感を出し切れずにいたグループかもしれません。
97年でグループは解散し、それぞれバックボーカリストやタレントマネージャーとして活動しているようです。
Terri & Monica – I’ve Been Waiting
Terri & Monica – Sexuality (If You Take Your Love)
女性R&Bデュオ 7選 : まとめ
90年代から2000年にかけて活躍した女性R&Bデュオ7組をご紹介しました。
デュオというのは2人の声質や息がぴったり合わないと成立せず実力が如実に表れてしまうため、なかなかグループとしてデビューするのは難しくバランスの良い(というかある程度誤魔化せる)3人、4人グループが主流になるんでしょうね。
という意味では奇跡的な7組だということです。
しかし、姉妹デュオのLes Nubians以外どのグループも短命で終わっているところを見ると、やはり2人のみで向き合って活動していくということは逃げ場がなかったり客観的になれなかったりで難しいのかもしれません。