ロサンゼルス出身のヒップホップシンガー、プロデューサーのTyrone William Griffin Jr.のステージネーム、 Ty Dolla Sign (Ty Dolla $ign = タイ・ダラー・サイン)。
数々のヒップホップアクターのコラボレイターとして、あるいはソロシンガー(自身はラッパーではないと言っているので)としてこの10年のヒップホップシーンで必要不可欠、唯一無二な存在となりました。
父親は70年代から80年代に活躍したファンクバンド、Lakeside(レイクサイド)の1983-1997までツアーメンバーとして活躍したミュージシャン、Tyrone Griffin sr(タイロン・グリフィン・シニア)で、幼少のころからベース、ドラム、ギター、MPCなどを学び、20代前半(2000年代前半)から音楽活動を開始。
2008年にTy&Kory名義でRaw&Bangin Mixtape Vol 2をインディレーベルよりリリース、しかし2000年代は今ひとつ注目はされず、鳴かず飛ばずの状態でしたがLAコンプトンのラッパーYGへのプロデュース曲『Toot It and Boot It』で注目され、その後Iggy AzaleaやChris BrownのプロデューサーでもあるFuegoをプロデューサーに迎えた『All Star』、Young Jeezyとの『My Cabana』、Wiz KhalifaのレーベルTaylor Gang Entertainment(アトランティックレコード傘下)と契約し『Beach House – EP』シリーズ3作の成功によって完全なる地位を確立したと言えます。
2015年にはKendrick Lamar、Brandy、Trey Songz、 Kanye West、Puff Daddy、Wiz Khalifaなどなど、超豪華ゲスト陣を迎えたデビューアルバムとなる『Free TC』をリリース。
しかしなんといっても彼の魅力は様々なアーティストへの客演での仕事ぶりではないでしょうか。
Post Malone、Nicki Minaj、Christina Aguilera、Fifth Harmony、Chris Brownなどなど数多なアーティストの客演で魅せる唯一無二の独特な歌いまわしと声は、楽曲に程よい調味料的エッセンスと安心・安定感のようなものを吹き込みます。
そんな彼のフィーチャー仕事人的な一面を前面に出したその名も『Featuring Ty Dolla $ign』が2020年10月リリース。
彼の今までの足跡を辿るかのような数々のゲストとの歌(ラップ)合戦的な内容となっています。
Ty Dolla Sign : レビュー
Spicy feat. Post Malone
『Featuring Ty Dolla $ign』から4曲。
YouTube8億回再生、全米2位の大ヒットとなった『Psycho』でのポスト・マローンとのコンビ再び。
Real Life feat. Roddy Rich
『Bacc Seat』でコンビネーションを見せていた新鋭ラッパー&シンガーRoddy Richとの再共演はDJ Mustardプロデュース。
By Yourself feat. Jhené Aiko
こちらもDJ Mustardプロデュースらしいトラップビート・コンテンポラリーR&Bではジャネイ・アイコ姉さんと共演。
Ego Death feat. Kanye West, FKA twigs & Skrillex
グラミーノミネートされた『Midnight Hour』でのSkrillexとのコンビが再び。そこにカニエとFKA twigs(!)も参戦したアルバム唯一のエレクトロニック系サウンド。
SZA – Hit Different
ここからは他のアーティストへの最近の”Featuring Ty Dolla Sign”を3曲。
SZA待望の2020年最新シングルに登場。プロデュースはなんとザ・ネプチューンズ。
Warren G – And You Know That
久々の活動といった感のあるウォーレン・Gの2020年シングルでの共演。ウォーレン・Gと時代を代表する客演職人による共演というところがネイト・ドッグとの『Regulate』を思い起こさせて泣かせます。
Megan Thee Stallion – Hot Girl Summer
2019年作の大ヒットサマーアンセム。タイ・ダラー・サインのボーカルが安定剤のようにこのダイナマイト二人を中和させています。
▼Megan Thee Stallionの記事はこちら▼
Alone For Christmas
Kiana Ledéとの共作による2020年クリスマスソング。クリスマス・オムニバスアルバム『Still Home For The Holidays』より。
アルバムはこちら
まとめ
ヒップホップ界唯一無二の名コラボレイター、Ty Dolla Sign(タイ・ダラー・サイン)でした。
90年代のNate Dogg、00年代のAkon、10年代以降のTy Dolla Signと、ヒップホップ界の客演職人、名コラボレイターはそれぞれの年代を代表する存在がいますね。
また彼は客演だけでなくChordz 3D、Buddah Shampoo、Fuego、DJ Dahi、DJ Mustardらと制作チーム『DRUGS』としても活動しており、プロデューサー業でも注目したい存在です。