ロンドンのアシッド・ジャズ・シーンのパイオニア、 The Brand New Heavies (ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ)。
1985年にアンドリュー・レヴィ(b)、サイモン・バーソロミュー(g)を中心に結成され、1970年代のファンク・グルーヴとジャズ、ヒップホップのエッセンスを取り入れた非常に洗練されたサウンドで、90年代当時のアシッドジャズムーヴメントを牽引。
1990年にアトランタ出身の女性シンガー、N’dea Davenport(エンディア・ダヴェンポート)がバンドにジョインしたことで、その切れの良い洗練されたジャズ・ファンクグルーヴと彼女のボーカルが見事に融合し、華やかさを増したサウンドで一気に世界的な人気バンドに成長し、日本でもそのころから高い人気を誇っていますね。
その後95年にソロ活動に移行したダヴェンポートの脱退がありましたが、マイケルジャクソンの『I Just Can’t Stop Loving You』のデュエットでも知られるLAのシンガーSiedah Garrett、 同じアシッドジャズ系バンドYoung DisciplesのメンバーでもあったCarleen Andersonなどの実力派から、Linda Muriel、Jay Ella Ruthなどの常連コラボレイターを含め様々なボーカリスト(基本的に女性)をフィーチャーし、上質なクラブジャズサウンドを長年にわたり世に送り出してきました。
2010年代に入ってJan Kincaidと2013年からリードヴォーカルを務めていたDawn Josephが別プロジェクト(MF Robots)結成により脱退したものの、20019年『TBNH』をリリース。
このアルバムは2016年以降バンドに復帰していたN’dea DavenportやSiedah Garrett、Angie Stone、Beverley Knightら豪華ゲストヴォーカルによるBrand New Heaviesらしい華やかなサウンドを聴かせてくれ、健在ぶりをアピールしていました。
そして、2021年にはN’dea Davenportとの1992年に行われた、かつての輝きに満ちた東京でのライヴ収録アルバム『Shibuya 357-Live In Tokyo 1992』をAcid Jazzレーベルよりリイシュー。
あのころを懐かしみつつ、彼らの代表曲、名曲を振り返ってみます。
The Brand New Heavies : レビュー
Dream Come True
1990年『Brand New Heavies』より。
アルバム一曲目から強烈なインパクトのあった、カッティングギターとホーンが印象的な最高にポジティヴなダンサブルサウンドは、いま聴いてもノリノリになりますね。ブレイクの展開、アレンジも最高です。
Never Stop
80年代のスタカン、スウィング・アウト・シスターを90年代上位変換したようなUKっぽさを感じるブリットR&Bサウンド。元々はJan KincaidとAndrew Levyによる別プロジェクト「K-Collective」で作成された曲。
Dream On Dreamer
94年アルバム『Brother Sister』より。
TLCのプロデューサーでもあるDallas Austinが共同ソングライティングをつとめ、アメリカ市場を意識したストリングスやホーンのゴージャスさが際立ったR&Bサウンド。
BNH
1990年『Brand New Heavies(Deluxe)』の一曲目に収録されていたタイトルトラック。
80年代後半から90年代のアシッドジャズシーンらしいド直球なインストルメンタルUKジャズファンクの決定版!
You Are The Universe
1997年『Shelter』より。 Siedah Garrettがヴォーカルをつとめたエレガントな雰囲気とサビへの高揚感が堪らない名曲。Monday満ちるもカバーしていましたね。
These Walls
2019年『TBNH』より。
ヴォーカルをN’Dea Davenport、プロデューサーはMark Ronsonが務めた、Kendrick Lamarの名盤『To Pimp A Butterfly』に収録されている”These Walls“のカバー。
まとめ
アシッドジャズ界のトップランナー、The Brand New Heavies(ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ)でした。
Suchmosら日本の現代シティポップ系アーティストにも大きな与えた、アシッドジャズの魅力をギュッと詰め込んだような旨味のあるサウンドは今も健在です!