Open Mike Eagle / 悩めるLAアンダーグラウンドの才人

Open Mike Eagle Hip Hop
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シカゴ出身でロサンゼルスを拠点とするラッパー、Michael W. Eagle IIのステージネーム、 Open Mike Eagle (オープンマイク・イーグル)。

Freestyle FellowshipやJurassic 5、Dilated Peoplesらも参加していたサウスセントラルのオープンマイク・ナイトから派生したアンダーグラウンドヒップホップクルー、Project Blowedのメンバーであり、その他、オルタナティヴヒップホップトリオのThirsty FishSwim Team、インディーレコードレーベルHellfyre Clubへの参加、コメディアンのBaron Vaughnと立ち上げたコメディーショーの”The New Negro“など多岐に活躍。

Thirsty FishやSwim Teamでの作品を経て、自身のソロ作としてはNocandoBusdriverProject Blowedのメンバーをフィーチャーした2010年アルバム『Unapologetic Art Rap』をリリース。

その後も前述のグループやソロでの精力的な活動により2010年代のLAアンダーグラウンド、レフトフィールドおよびアバンギャルドヒップホップシーンをけん引し、順風満帆なキャリアを構築。

しかし不幸は突然襲ってくるもので、2019年にHellfyre Clubのビジネス上の破綻、バラエティ番組”The New Negro“の打ち切り、うつ病の発作、そして追い打ちをかけるかのように14年来連れ添った妻との離婚が成立。

そんな一気に不幸が降りかかった心境を綴ったアルバム『Anime, Trauma and Divorce』を2020年にリリース。

自己批判に苦しみながらセルフケアを試み、闇の中から前進するための方法を探求するような、内省に満ちたアルバムになっていて、不幸中の幸いか(?)なかなか面白い作品になっていてPitch Forkのアルバムレビューでも8.0と高い評価を得ています。

今回はこのアルバム『Anime, Trauma and Divorce』中心にOpen Mike Eagleの代表曲を振り返ってみます。

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Open Mike Eagle : レビュー

Bucciarati feat. Kari Faux 

Anime, Trauma and Divorce』より3曲。

新鋭ラッパー、シンガーのKari Faux(カリ・フォー)をフィーチャー。離婚調停のような法廷シーンの中で無力に攻め立てられるようなMVと、何かが壊れていくさまを示唆したようなリリックが暗くもどこかユーモラスに伝わってくる。

 

headass

エヴァンゲリオンの主人公、碇シンジの内向性、自分の存在価値への疑問、生まれた環境へのトラウマと自身をシンクロさせたのか?。Headass=愚かな人、特に社会的に無能な人の意。

 

I’m a JoeStar

Adult Swimというライブストリームチャンネル、ショウケース経由でのシングルカット作品でもある曲。

ジョジョの奇妙な冒険』のジョセフ・ジョースターをモチーフにしたもの。なりたいと思ってるのか?といった内容。

 

[How Could Anybody] Feel at Home

2017年『Brick Body Kids Still Daydream』より。フルート音とシンセがダークに響くトラックが印象的。

 

Ziggy Starfish (Anti-Anxiety Raps) 

2015年EP『A Special Episode』より。

イギリスのプロデューサーGold Pandaによるキラキラした独特のグルーヴを放つエレクトロニカサウンドとOpen Mike Eagleの相性が意外にもバッチリ。

 

Dark Comedy Morning ~ Late Show

2014年『Dark Comedy Show』より、世間と自分の面白いことの不一致をシュールに表現していく2曲。

Morning ShowはToy Light、Late ShowはExileがプロデュース。

 

まとめ

悩めるLAアンダーグラウンドの才人、Open Mike Eagle(オープンマイク・イーグル)でした。

やや抽象的なリリックが多いので歌詞がどうというより、あるいはヒップホップとしてのプロダクションというよりも、イイやつなのかイヤなやつなのかよくわからない、そんな人間臭さとユーモラスなキャラクターが立ってる人ですね。

中年を迎えて悩み多きこの時期と、それを打破するためのファンタジーを赤裸々に綴る内容は、英語がよくわからなくてもどこか共感できるような不思議なアート的パワーがあるように思います。