イングランド北部マンチェスターに生まれ育ち、現在も拠点に活動するトランぺッター、プロデューサー、DJの Matthew Halsall (マシュー・ハルソール)。
アートに造詣のある両親の下で育ち、6歳の頃にコルネットを演奏し始め、12歳の時には地元ウィガンのジャズイベント、The Mill at the Pierのジャズセッションにビッグバンドのトランペット奏者として参加。
そのイベントのマスタークラスに参加し講師を務めたRoy Hargroveら一流トランぺッターに学ぶ。
2008年自身のレーベルを立ち上げ6曲EP『Sending My Love』でデビュー。以降、アルバム『Colour Yes』(2009)、ジャイルズ・ピーターソン・ワールドワイド・アワードを受賞した『On the Go』(2011)、『Fletcher Moss Park』(2012)など、同レーベルから安定したペースで作品をリリース。
Alice ColtraneやPharoah Sandersらスピリチュアルジャズの影響と50年代から60年代のモーダルジャズに影響を受け、ワールドミュージックやエレクトロニカ、さらにはモダンアートや建築といった音楽以外のアートからもインスピレーションを受けた独自の世界観を構築しており、MOJO、BBCなどイギリスメディアを中心に高い評価を獲得しています。
2022年には『The Temple Within』『Changing Earth』と2枚のEPをリリース。
GOGO PENGUIN、DWIGHT TRIBLE、ALLYSHA JOYらが所属する今やイギリスの重要ジャズレーベルとして君臨するDondwana Recordsのレーベルボスとしての顔も持つMatthew Halsallをレビューします。
Matthew Halsall : レビュー
The Temple Within
2022年『The Temple Within』のタイトルトラック。
元ミュージシャンを起用し月例セッションを繰り返しながら没入と共同作業の中で創り上げた、グローバルなインスピレーションが風格を持って醸し出されるアンビエントフィールなスピリチュアル・ジャズ。
Salute to the Sun (Live at Hallé St Peter’s)
地元マンチェスターのリハーサルとレコーディング用のホール、Halle St Peter’sでのフルセッション。The Temple Within同様地元ミュージシャンたちとの47分間に及ぶ濃密なセッション。
時間があるときにゆっくり聴いてください。
Into Forever (feat Josephine Oniyama)
個人的に一番好きな2015年アルバム『Into Forever』より、ジャマイカとナイジェリアにルーツを持つマンチェスターのシンガー、Josephine Oniyamaをフィーチャーした静かで荘厳とした流れを感じさせるスピリチュアルジャズ。
The Sun In September
2012年『Fletcher Moss Park』より、フルートとトランペットの音色がアフリカ~中南米のような壮大な大地を連想させる作品。
マンチェスター・スピリチュアルジャズ、Matthew Halsall (マシュー・ハルソール)でした。
荘厳でアンビエント、イギリス北部から広大な大地へと響き渡らせるゴンドワナ・オーケストラでした。