アメリカはノースカロライナ州出身のTravis Stewart(トラヴィス・スチュアート)によるソロユニット、 Machinedrum (マシンドラム)。
Tstewart(Tスチュアート)、Syndrone(シンドローン)、Sepalcure(セパルキュア)、デトロイトの気鋭Jimmy Edgar(ジミー・エドガー)とのユニット、J-E-T-S(ジェッツ)など様々な名義で2000年代以降のエレクトロニカ、ダブステップ、IDM、ジュークなどのアンダーグラウンドなエレクトロニック・ミュージックシーンを牽引してきた鬼才ベテランプロデューサー。
自身による様々なプロジェクトの傍ら、Dawn Richard(ドーン・リチャード), Theophilus London(セオフィラス・ロンドン)、Azealia Banks(アゼリア・バンクス)、Jesse Boykins III(ジェシー・ボウキンズ三世)、Kelis(ケリス)、Solange(ソランジュ)、Bonobo(ボノボ)などなど、かなり多くのアーティストへのプロデュース・リミックスワークもこなしている多作家、超多忙な人。
マシーンドラム名義だけでも2001年以降(J-E-T-S含め)8作のアルバムを数え、2020年10月には4年ぶりの待望9作目のアルバム『A View Of U』をNinja Tuneからリリース。
Freddie Gibbs、Rochelle Jordan、Mono/Poly & Tanerélle、Chrome Sparksなどが参加する、いままで培ってきた様々なエレクトロニカル&サンプリングミュージックのアプローチに加え、ヒップホップの要素も多分に含んだ内容となっています。
今回はその『A View Of U』からの新作と前作『Human Energy』中心に、アンダーグラウンドでマニアックな作品が多い彼の作品の中でも比較的聴き易い内容のものをピックアップしてレビューしていきます。
Machinedrum : レビュー
Ur2yung
『A View Of U』から3曲。
細かく刻まれたマシーンドラムらしいサンプル使いとエフェクトで迫ってくるハイテンションなキラーチューン。
Kane Train feat. Freddie Gibbs
このカップリングだけでちょっとテンション上がる組み合わせ。で、その期待を裏切らない完ぺきなヒップホップトラックの提供とそれに応えるフレディ・ギブス!
Star feat. Mono/Poly & Tanerélle
Flying Lotus率いるBrainfeeder所属のエレクトロミュージックプロデューサーMono/Polyと、アトランタのシンガーTanerélleを迎えてのディープで透明感のあるヴァイブスに深みのあるTanerélleのボーカルが冴えるエレクトロニカ。
Do It 4 U (ft. D∆WN)
前作2016年『Human Energy』より。
アップリフティングでキラキラしたなシンセ&トラック、お得意のクラップ風ハイハットが印象的な変則ドラムプログラムにD∆WNのエディットされまくったボーカルが絡む未来型R&Bソング。
J-E-T-S – Real Truth (Feat. Tkay Maidza)
ジミー・エドガーとのユニット、ジェッツの2019年アルバム『ZOOSPA』より。
ジンバブエルーツのオーストラリアのフィメールラッパー、Tkay MaidzaをフィーチャーしたHudson Mohawk的レイヴ&ヒップホップ。
What Is This feat. Rosie Lowe
こちらも前作2016年『Human Energy』より。ロンドンのシンガーソングライター、Rosie Lowe(ロージー・ロー)を迎えての控えめに上品に仕上げたいつもの変則トラックとギターリフが、オーガニック感や繊細さを感じさせる作品。
Angel Speak (ft. MeLo-X)
煌びやかさのある上物の使い方、ダブステップ的な展開と珍しくいキャッチーな音声サンプリングが次々と目まぐるしくポップにループしていく、いままでのマシンドラムのアンダーグラウンドな印象とは違った意欲作。
まとめ
アンダーグラウンド・エレクトロサウンドの鬼才、Machinedrum(マシンドラム)でした。
2000年代以降のあらゆるアンダーグラウンド・エレクトロミュージックを網羅的に突き詰めてきたマシンドラム。
フライング・ロータス、ハドソン・モホーク、ムラマサあたりが好きな人はもちろん、ジューク/フットワーク好きもハマること間違いなしの作品たちです。かくいう自分もジューク/フットワーク経由でファンになったクチだったりします。
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