カナダのノバスコシア州生まれ、カルガリー出身のシンガーソングライター、Leslie Feist= Feist (ファイスト)。
青少年合唱団に参加して音楽に興味を持つようになり、15歳でカルガリーを拠点とするパンクバンド、Placeboにボーカリストとして参加し、1995年にはEP『Don’t Drink the Bathwater』をリリース。
しかし、グループのパワフルなステージの音量についていけず、1996年、声帯にダメージが出始めたため、Placeboを脱退。カルガリーからトロントに拠点を移し、独学でギターを学び、この頃から音楽制作を開始。
1998年、インディーズロックバンドBy Divine Rightのギタリストとなり、1999年のアルバム『Bless This Mess』に参加もその後脱退。
ルームメイトでもあったMerrill NiskerのパンクバンドPeachesへのバックボーカル参加を経て、そのPeachesでの活動で知り合ったフランス人プロデューサー、Renaud Letangと彼の盟友Chilly Gonzalesのサポートを受け2004年ソロアルバム(実質的に2作目となる)『Let It Die』をリリース。
ポップ、フォーク、インディー、エレクトロニック、ラテンミュージックの影響をRenaud Letangの手腕によって見事に融合させ、Feistのクールでパワフルなボーカルスタイルを印象的にアピールし、インディーシーンで大ヒットを記録。
そして3年後のアルバム『The Reminder』ではRenaud LetangをはじめChilly Gonzales、さらにMockyがプロデューサー陣に加わり、シングル「1234」がiPod nano CMソングに起用されて世界中で大ヒットを記録。
当初からアルバムは好調なセールスだったがこれに拍車をかける形でカナダのアルバムチャート2位、アメリカのアルバムチャートで16位を獲得し商業的ブレイクを果たし、国際的なポップセンセーションを引き起こしました。
しかし、さらなるポップ・アンセムを追求するのではなく、2011年にムーディーな『Metals』を発表しヨーロッパと北米でトップ10入りを果たし、2017年には、ブルージーなロックなど大胆なサウンドを取り入れた、より生々しい『Pleasure』をリリース。
第一子の誕生や父親の死などの人勢の経験を経て、2021年からはデザイナーのロブ・シンクレアの協力によって、『Multitudes』と題した一連のコンサートを企画。同年8月にドイツのハンブルグで初演された後、カナダとアメリカに渡り、生と死をテーマにしたエクスペリメンタルな楽曲の数々をラウンド形式で披露。
これらの楽曲は、2023年4月14日にリリースされた6年ぶりのアルバム『Multitudes』へと結実しており、長年のコラボレーターであるMockyとRobbie Lackritz、Brake Millsらとともに、北カリフォルニアのホームスタジオでレコーディングされ、演劇的なアプローチと、アートロックとアヴァン・フォークの融合を試みています。
Feist : レビュー
Multitudes Mini-Concert
アルバム『Multitudes』からの楽曲によるアートなミニマルライヴセッション。
Borrow Trouble
大胆でパワフルなドラムとストリングスで展開されるアートロック。
In Lightning
『Multitudes』からの先行ファーストカット。演劇的なアプローチによるスキタリングドラムやオノマトペ的ボーカルはビヨークにも通じるアヴァンポップ。
1234
彼女を一躍ポップスターへと押し上げた代表作。サントリーの烏龍茶のCMでも使われてましたね。
カナダのアヴァンポップ・センセーショナリスト、 Feist (ファイスト)でした。
アルバム『Multitudes』はアーティスティックな前衛さの中に、彼女のシンプルで親しみやすい部分も感じられるプロダクションの巧妙さも感じられる作品です。