珠玉のUK産 90年代R&B 6選と題して、90年代のイギリス産R&Bアーティストを厳選してみました。
90年代のR&B界隈はヒップホップとの融合が一層図られ表現の幅が広がっていくことで、様々なスタイルが確立されまさに百花繚乱の時代へと突入していきますが、ムーブメントの中心はまだまだアメリカにあったように感じます。
そんな中、90年代のイギリス勢も次々と良質なR&Bアーティストが輩出されていました。アメリカのストレートでダイナミックな表現とは違った、メロディアスでスタイリッシュな表現はこの時代においても健在です。
では、その中から90年代に活躍した選りすぐりの6アーティスト(4シンガー、2グループ)をご紹介します。
#1 Elisha La’Verne
90年代のイギリス産ポップR&Bといえばやっぱりこの人!日本でも絶大な人気を誇ったサウス・ロンドン出身のシンガー、Elisha La’Verne(エリーシャ・ラバーン)。
全体的に重層感のあるトラックは、腰の強いビートとUS産とはまた違った繊細だけどゴージャスなメロディが、90年代のR&Bムーブメントの中でもとりわけ際立っていて、当時の若者を中心に非常に人気の高いシンガーでした。
Elisha La’Vern – I’m Not Dreaming
曲全体の構成、サビの盛り上がり方が完璧な、倉卓治=T-KURAプロデュースによる不朽の名作。
N43°RemixではGrover Washington Jrの”Just a Two Of Us”使いの、よりキャッチーなバージョンは当時同じく大人気だったAround The Wayの”Really Into You“と共に当時のクラブではセットでヘビロテでした。
Elisha La’Vern – Say Yeah!
I’m Not Dreaming同様、T-KURAプロデュースのミッドチューン。やはり日本人のツボが分かってますね。
#2 Des’ree
94年の”You Gotta Be“の大ヒットにより彗星のごとく現れたロンドンのシンガーソングライター、Des’ree(デズリー)。
ポジティブな歌詞とアコースティックなサウンドが、いわゆるオーガニックソウルの先駆けだったような気がします。この人も日本で非常に人気が高かったですね。
Des’ree – You Gotta Be
当時初めてこの曲を聴いたときのインパクトは今でも覚えています。
このオリジナルではLamont DozierTakeの”Off Your Make Up“のビートサンプルを使用、クラブでのプレイでは「Love Will Save the Day Mix」というものが良く使われていましたが、そちらはヒップホップや当時やや下火になりかけていた「グランドビート」ムーブメントでも多用されていたThe Soul Searchersの”Ashley’s Roachclip“のブレイクビートが使われています。
その辺もすごく90年代っぽいですね。
Des’ree – Life
日本のドラマの主題歌(to Heart 〜恋して死にたい〜)になったということもあり、日本でも大ヒット。
#3 Gabrielle
93年”Dreams”のUKチャートNo1ヒットにより一躍ポップシーンに躍り出たロンドン出身のシンガー、Gabrielle(ガブリエル)。
ハスキーな独特の歌声が特徴的で、R&Bというよりもポップの領域に位置するサウンドですが、当時のR&B系クラブでもよくプレイされていました。
Gabrielle – I Wish
当時のFMラジオやクラブでもヘビーローテーションされていた、日本では恐らく一番人気だった曲。Kool & The Gangの”Jungle Jazz“のブレイクを使ったリミックス版はクラブ仕様でした。
Gabrielle – Dreams
#4 Lisa Stansfield
1983年にポップバンド、Blue Zoneを結成し、その後ソロ活動をスタート、その後人気DJプロデューサーデュオ、Cold Cutプロデュースによる”People Hold On“で特にクラブシーンで人気を集めたイギリス北部のランカシャー出身のシンガー、Lisa Stansfield(リサ・スタンスフィールド)。
なので活動としては80年代後半にかけて”All Around the World“など代表曲が多いですが、90年代に入っても独自のスタイリッシュなビジュアルとボーカルに磨きがかかり、多くの人気曲を残しました。
Lisa Stansfield – Change
91年作。UK産ならではのスタイリッシュなメロウR&B。
Lisa Stansfield – The Real Thing
97年作。Changeから8年経ても変わらぬ華やかなトラックと伸びやかなLisaのボーカルが高揚感たっぷりに迫ってきます。
#5 Eternal
TLCやSWV等の成功により90年代ガールズグループブームに突入したアメリカから次々とグループが送り出される中で、イギリスからもその波に乗ろうと少なからずガールズグループが世に送り出されていましたが、その中でも一番成功したグループがこのEternal(エターナル)ではないでしょうか。
姉妹であるバーニー・ベネット(Vernie Bennett)、エスター・ベネット(Easther Bennett) とケリー・ブライアン(Kelle Bryan)、唯一白人のルイーズ・ナーディング(Louise Nurding)の4ボーカルグループ。アメリカ産に負けず劣らず、遜色のない当時の流行的なR&Bを展開していました。
Eternal – Stay
Glenn Jonesの90年作をオリジナルが霞むほど見事にカバー。90年代エモーショナルチューンの大人気クラシック。
Eternal – Power of a Wowan
大ヒットした彼女たちの代表作であり、90年代R&Bのキラーチューンとして語り継がれるクラシック。
#6 D’influence
80年代後半から90年代のイギリスはアシッドジャズムーブメントで沸いていましたが、アシッドジャズの流れを汲んだR&B系寄りのアーティストがいくつも出現してくる中での先駆けでもあり代表的なグループであるD’Influence。
女性ボーカリスト、Sarah-Ann Webb(サラ・アン・ウェブ)の低音ヴォイスとアシッドジャズ由来のジャジー&レトロなディスコチューンは当時の感度の高いリスナーから大きな支持を受けていました。
D’Influence – Hypnotize
Fonda Raeの”Over Like a Fat Rat“にインスパイアされたベースラインが印象的。
D’Influence – Good Life
現代のCool MillionやSoulpersonaに通じるアーバン・ディスコブギー。
まとめ
珠玉のUK産 90年代R&B 6選でした。US産とは違った繊細でスタイリッシュなアーティストが多いのは今も昔も変わらないですね。