Midnight Star / 80年代アーバン・エレクトロファンクの雄

Midnight StarR&B

1980年代に隆盛を極めたLAのレーベル、SOLAR Recordsの看板バンドとして活躍したシンセファンク・ユニット Midnight Star (ミッドナイト・スター)。

1976年にケンタッキー州立大学でトランペッターのレジナルドとトロンボーンのヴィンセントのキャロウエイ兄弟、そしてボーカルのベリンダ・リプスコムで結成。

ライヴを中心に活動している中、SOLAR Recordsのプロデューサー、リチャード ギルバート グリフに見出され、のちにプロデューサーとしても活躍するレジナルド・キャロウェイの弟トロンボーン奏者、ヴィンセント・キャロウェイも参加し、1980年デビューアルバム『The Beginning』をリリース。

その後『Standing Together(1981)』、『Victory(1982)』と立て続けに作品を出すものの、この時代によくあるファンクバンドの域を超えず今一つブレイクしきれないでいましたが、1983年の『No Parking O n The Dance Floor』において打ち込みドラム、シンセ、ボコーダーを前面に押し出したディスコフロア向けエレクトロファンクがハマり、ビルボードUSポップアルバム最高27位、 同ソウルアルバム2位を獲得。

続く1984年『Planetary Invasion』からのシングル「Operator」がビルボードホット100で18位、R&Bチャート(Hot Black Single)で1位を獲得し、ディスコ好きのみならず世界的なブレイクを果たすことになります。

1986年『Headlines』もそれまでのエレクトロファンク路線でゴールドディスクを獲得したものの、このアルバム後のキャロウェイ兄弟の脱退、Teddy Rileyを中心に80年代後半から台頭するニュージャックスウィングへと時代は変貌しつつあり、その後のアルバム『Midnight Star(1988)』、『Work It Out(1990)』は時代遅れ感が否めずその後は事実上の活動停止状態となります。

そのミッドナイト・スターの代表作を振り返ってみたいと思います。

Midnight Star : レビュー

Searching for Love

ジャズフュージョン・ドラマー、Harvey Masonプロデュースによるデビューアルバム『The Beginning』より、このバンドのもう一つの顔ともいうべき極上スウィートバラードの傑作。

Searching for Love

 

この時代らしい漆黒モダンファンク。レーベルメイトのLAKESIDEDYNASTY系だけど両者に比べるとやや個性不足というか、なんか耳に残らない惜しい作品。

Tuff

 

No Parking O n The Dance Floor』より3曲。まずはアルバムオープナー、この路線でバンドのアイデンティティが確立されて大成功でしたね。

Midnight Star – Electricity

 

この曲も素晴らしいバラード作。Kenny Edmonds=Babyfaceの若かりし頃のソングライティング。

Slow Jam

 

このアルバムは捨て曲無しですね。この最後のトラックも今聴くとなかなか新鮮なミッドエレクトロファンク。

Playmates

 

Planetary Invasion』より、”Electricity”の完成形ともいうべき彼らの代表作にして最大のヒット曲。一ファンクバンドから世界的なディスコポップバンドへと飛躍させたエレクトロファンク・クラシック。

Midnight Star – "Operator" (Official Video)

 

Planetary Invasion』からシングルカットされてないのに超代表曲。数々のヒップホップ、R&Bアーティストによる引用、カバーによって有名になった定番のアーバン・クラシック作。

Curious

 

Headlines』からのヒット作。この曲もいろんな人に影響与えているような、引用されることが多い曲ですね。煌びやかなシンセとアーバンな雰囲気漂う大人なモダンディスコ。12inchのExtended Versionが秀逸でDJ必携ですね。

Midnight Star – "Midas Touch" (Official Video)
Midnight Star – Midas Touch (12" Extended Remix Funk 1986)

 

KLYMAXXとか、Debargeあたりと通じる80年代中盤っぽいアーバンメロウ。やはりスローバラード系もうまいですね。

Searching for Love

 

1988年『Midnight Star』より、いわゆるWashington-GOGO系ですね。うーん、まぁ時代的にはアリだったんですが、なんか古いというか鈍臭さみたいのが感じられて商業的にもイマイチでしたね。

このアルバムは悲しいかなキャロウェイ兄弟不在によって方向性がまったく定まってなく内容的に全滅です・・・。今聴いてもその印象は変わりないですね。

かくいう脱退したキャロウェイ兄弟=Callowayの1989年アルバム『All The Way』もやはり時代遅れ感があってイマイチでして、彼らの時代もここまで、といったところでした。

Don't Rock the Boat

 

80年代アーバン・エレクトロファンクの雄、 Midnight Star (ミッドナイト・スター)でした。

2000年代に入り2002年アルバム『15th Avenue』をリリースし復活を遂げ、現在もツアー活動を行っていますし、Vincent Callowayもソングライターとしてその後も数々のR&B作品を手掛けていたりとまだまだ健在の(旧メンバー含めた)バンドでもあります。