ペンシルバニアで生まれ、LAのサウスセントラル、コンプトン地区出身のラッパーArtis Leon Ivey, Jr. のステージネーム、 Coolio (クーリオ)。
現地時間2022年9月28日に心肺停止が確認され死去との情報がありました。死因は現在不明、事件性はないようです。享年59歳でした。
90年代に一世を風靡したラッパーとしてだけでなく、それまであまりヒップホップ、ラップを聴かなかった(敬遠していた)層にもその魅力を拡げることに貢献したアーティストだったように思います。
ここでは、そのクーリオの代表曲を紹介し追悼をしていきたいと思います。
幼少の頃に両親が離婚しコンプトンという土地柄ギャングスターに憧れ、有望だった学業も暴力と貧困に苦しむ環境に陥りながらも高校卒業後、コンプトン・コミュニティー・カレッジで学び、高校時代に興味を持ったラップをステージで披露するようになり頭角を現す矢先にクラック・コカイン中毒に陥り音楽活動も頓挫。
そこから数年かけリスタートし、LAのヒップホップトリオWC & Maad Circleと出会い彼らの1991年のデビュー・アルバム『Ain’t a Damn Thang Changed』にゲスト参加。
その後ヒップホップコレクティヴ40 Thevzを結成しヒップホップレーベルTommy Boyとの契約を勝ち取り、DJのBrian “Wino” Dobbsと共に、デビューアルバム「It Takes a Thief」を1994年にリリース。
このアルバムからレイクサイドの1980年ファンク・クラシック「Fantastic Voyage」を使った同名シングルが大ヒットし、USビルボードHot100で最高3位を記録。
当時主流だった西海岸系G-Funk、ギャングスタラップと一線を画した(本来の意味ではこのアルバムもギャングスタラップなのだが)親しみやすいこのアルバムは多くのリスナーを惹きつけることに成功し、いきなりプラチナセールスを達成。
以降、コラボレイターのゴスペル出身シンガーL.Vとの『Gangsta’s Paradise』や『1, 2, 3, 4 (Sumpin’ New)』といったヒップホップを主流のポップミュージックに押し上げるような楽曲により、90年代中盤のヒップホップシーンの中心的人物に成長。
90年代後半以降は様々なトラブル(逮捕等)がありメインストリームから遠ざかってしまいますが、2000年代以降も『El Cool Magnifico(2002)』、直近ではゲストラッパーとして活躍していました。
それでは全盛期のクーリオ代表曲を聴いていきましょう。
Coolio : レビュー
Gangsta’s Paradise (feat. L.V.)
Coolioと言えばやはりこの曲でしょう。Stevie Wonder “Pastime Paradise“のサンプリング。
シリアスな曲調からレーベルよりアルバム収録が回避され、ミシェル・ファイファー主演の映画『デンジャラス・マインド』のサウンドトラックに収録。ところがこれが大ヒット、ビルボード1位となったことで急遽アルバムタイトルとしてリリースされることに。
Fantastic Voyage
80年代ディスコフリークには嬉しいLakeside ”Fantastic Voyage”使い。フロア映え良しで当時のクラブでも人気曲でした。
County Line
Bar-kays & Zapp使いのウェッサイ・ヒップホップ好きにも刺さる内容。本来はこっちがメインなんですがポップな作品のインパクトが強いので埋もれてしまってるのがちょっと残念。
1,2,3,4 (Sumpin’ New)
この曲もフロアウケ間違いなしのパーティチューン。Tom Browne “Thighs High (Grip Your Hips and Move)“をセンス良くサンプリング。
Too Hot
Kool &The Gang “Too Hot“使いのクールな作品。
C U When U Get There (feat. 40 Thevz)
映画『Nothing To Lose』のサウンドトラックにも収録されたバラード系ヒット作。自身が所属していたコレクティヴ、40Thevzをフィーチャー。
Teddi Gold – The Floor Is Lava (Featuring Coolio)
大注目のLAのシンガーソングライターTeddi Goldの今年7月リリース作にフィーチャーされてたのに。。。
追悼 90年代を代表するウェストコースト・ヒップホップスター、 Coolio (クーリオ)でした。
享年59歳と、まだまだ若く惜しまれる死でした。謹んでお悔やみ申し上げます。