アトランタを拠点にするシンガーソングライター、マルチ奏者のErnest Greene(アーネスト・グリーン)のソロプロジェクト、 Washed Out (ウォッシュド・アウト)。
2009年デビューEP『Life of Leisure』以来、ローファイ・インディロックや、インターネット発のムーヴメントである、いわゆるチルウェーヴの先駆者としてToro Y Moiらと共にそのジャンルを牽引してきた存在。
いままで上記EPと5枚のアルバムをリリースしていますが、ベッドルームシンセポップにアンビエントな要素を組み込んだグローファイモデルから、スペイシーなエレクトロニック・サウンドやポストパンク、バレアリックディスコなどの要素も取り入れつつ変化してきていて、その引き出しもどんどんと増えてきているように思います。
Toro Y Moiはどちらかというと80年代R&Bやソウルジャズの要素を取り入れながら進化していったのに対し、Washed Outはエレクトロニック、ダンスポップ系に進化していった感じで、それぞれチルウェーヴをベースに対照的な進化をしていっているのではないでしょうか。
2020年のアルバム『Purple Moon』では一時移籍していたレーベルStones Throwから古巣Sub Popに再移籍し、原点回帰的チルウェーヴとアルバムジャケットに映る地中海の情景のように、現実逃避的パープル&クリスタルサウンドを展開しています。アルバムタイトルは1960年René Clément(ルネ・クレマン)監督による同タイトルのフランス映画から撮ったもの。
Washed Out : レビュー
Too Late
『Purple Moon』より3曲。眩く幻想的なリバーブのかかったチルウェーヴの真骨頂的シンセポップ。COVID-19のパンデミックにより撮影キャンセルとなったMVは、旅行をテーマにした動画クリップをInstagramでファンから募集したものを編集したもの。
Time to Walk Away
クリスタルに輝く煌びやかなシンセとずっしりとセンターラインを貫くボーカルのコントラスト。
Hide
ジャケットの孤独感と透明感のようなものが伝わってくるような世界観。
Hard to Say Goodbye
StonesThrowからリリースされた2017年『Mister Mellow』より。このアルバムはStonesThrowっぽいヒップホップの要素も感じさせる作風でしたが、その中からストリングスが全体をゴージャスに盛り上げるバレアリックディスコ風作品。
Get Lost
こちらも『Mister Mellow』より。80年代ヴィンテージハウスのようなトラックとスペイシーな世界観が混ざり合うエクスペリメンタルな内容。
Great Escape
2013年EP『Paracosm』より。空中を旋回するように響くシンセが気持ち良い、バレアリックでトロピカルアンビエントなサウンドは休日やリゾートにピッタリ。このEPは全曲おススメ。
Feel It All Around
2009年『Life Of Leisure』より。チルウェーヴの原点的作品として押さえておきたいですね。
まとめ
チルウェーヴの先駆者による探究、Washed Out(ウォッシュド・アウト)でした。
こう振り返ってみると、Sub Popへの復帰はチルウェーヴへの探求が自身の進む道と決意した結果なのでしょう。ちょっと実験的なことをやってみたくてStones Throwに行ったけどやっぱり自分の道はこっちだと確信した表れのような気がします。『Mister Mellow』も個人的には好きですけどね。
ということで今の最新チルウェーヴ作品はこちらでもチェックしてみてください。