カナダ、トロントを拠点にするシンガーソングライター、キーボーディストのChris A. Cummingsのプロジェクト、 Marker Starling (マーカー・スターリング)。
幼少の頃からクラシック ピアノを学び、トロントのヨーク大学でで映画製作を学んだ後、20代後半から音楽活動のキャリアをスタート。
2000年代はMantlerという名義で活動し3枚のアルバムをリリース。その後2010年代からベーシストのMatt McLarenとドラマーのJay Andersonを迎えたMarker Starlingを結成。
マントラーとしての活動と音楽性は変わらないものの、スティーリー・ダンやトッド・ラングレンのようなジャズの影響を受けた70年代ソフトロック~AORに現代ベッドルームポップ、インディR&Bをブレンドし、メロウで甘いようでいて一種の孤独を感じさせる独自の世界観を突き詰めています。
2022年11月にはMantler時代からの盟友Zack Gをプロデューサーに迎え、地元トロントで録音されたアルバム『Diamond Violence』をリリース。
変わらぬ甘酸っぱさを感じるボーカルテイストと、リラックスした70’sヴィンテージ・レイドバックサウンドが気持ち良い作品に仕上がっています。
Marker Starling : レビュー
Diamond Violence
『Diamond Violence』からのタイトルトラック。70年代B級アメリカンシネマを模した、美麗エレピが印象的なAORトラック。
Silk Rock (Haha Sounds Collective)
2020年UK録音のアルバム『High January』より。ロンドンの大所帯ジャズアンサンブル・コレクティヴ、Haha Sounds CollectiveにStereolabのレティシア・サディエをリードボーカルとしてフィーチャーした壮大なスピリチュアルジャズテイストに仕上がっている作品。
オリジナルはタイトなインディロックでこちらも秀逸。
Uphill Battle
2015年Marker Starling名義としての初アルバム『Rosy Maze』より、スティーリー・ダンを彷彿とさせる70年代ソフトロックスタイルに男のどうしようもなさ、みたいな滑稽さを表現するMVの切なさと妙にマッチ。
Time-Go-Round
Mantler時代の作品、アルバム『Landau』より。この時代の作品も非常に秀逸なものが多いです。チープなドラムマシンとエレクトリック・ピアノで紡ぐ、同郷Mockyにも通じる繊細で内省的な極上カナディアン・ブルーアイドソウル。
カナディアンメロウネス・ブルーアイドソウル、 Marker Starling (マーカー・スターリング)でした。
アルバム『Diamond Violence』からはまだYouTubeではタイトル曲のみの公開となっていますが、全曲粒揃いのメロウで繊細で内省的な作品になっています。